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2004.03.18

WHO、多剤耐性結核の蔓延に警鐘、東欧、中央アジア中心に拡大懸念

 世界保健機関は3月16日、「Anti-Tuberculosis Drug Resistance in the World」と題した世界結核レポートを発表、東欧と中央アジアにおける多剤耐性結核が著しく増加している現状に警鐘を鳴らした。

 報告書によると、多剤耐性結核患者が特に多い上位6カ国はエストニア、カザフスタン、ラトビア、リトアニア、ロシアの一部、ウズベキスタンで、これらの国では新規結核患者に占める多剤耐性菌感染者の比率がほぼ14%に達しているという。このほか、中国、エクアドル、イスラエル、南米なども汚染地域になっている。

 多剤耐性結核患者は毎年30万人に達すると推定されている。しかもその約8割が“超耐性”株で、3剤ないし4剤以上に対する耐性を確保しているという。こうした結核菌に感染すると、標準的な治療法であるイソニアジドとリファンピシン併用療法は効かず、大半が死亡に至る。標準治療法なら6カ月間の治療における薬剤コストは10米ドル程度だが、多剤耐性菌治療に要するコストはその数百倍にも達するという。

 多剤耐性結核の蔓延地域がHIVの感染拡大地域と一致していることは偶然ではなく、免疫力が低下したHIV患者に対して致命的な疾患として感染が拡大しているという。WHOでは耐性結核菌治療薬の開発を推進する国際的アライアンスを組織して研究を行っており、薬剤や治療法が開発過程にあるとしている。

 結核報告書の全文はこちらで入手できる(pdfファイル)。報告書に関するプレスリリースはこちらまで。(中沢真也)