2004.03.15

【連載:がんの治療成績を読む】 その14 症例増加数、成績と明確な相関は見られず

 がんの治療成績の格差が解消し、がんの治療成績全体を高めるためには、1.好成績の施設に患者が集まる、2.低成績の施設が成績を上げる−−いずれかの道筋がある。

 施設ごとに5年生存率などの成績が開示されることで、こうした動きが促進される効果が期待できる。

 今回は、全国がん(成人病)センター協議会に加盟している施設について、現在入手可能なデータの中で、「治療成績と症例数」、「治療成績と症例増加率」に相関が存在するかを検討してみよう。

 <表>は、連載その10で掲載した施設別5年生存率と各施設の症例数・症例増加率を一覧表にしたものだ。<図1>は生存率と症例増加率の相関を、<図2>は生存率と症例数の相関をグラフにしたものだ。<図2>の生存率と症例数には弱い相関があるように見えるが、<図1>の生存率と症例増加数は、ほとんど相関が見られない。



 現在、患者背景により調整をした期待生存率が算出されていないので、成績と患者増加率の相関を論じることはまだ困難だ。そもそも成績の情報が患者に知らされていないので、成績と患者の病院選択行動の関係を分析することは時期尚早ということもある。現状では、病院のブランドイメージなどが病院選択に大きな影響を与えていると推定される。

 だが、近い将来、施設別、病気別、疾病別の生存率や、期待生存率と実生存率の比較成績が開示されるようになれば、「成績と症例数の増減関係」を見ることが重要な分析事項となるのは間違いない。




 
 今回で、パート2「全国がん(成人病)センター協議会に加盟する施設の成績を読む」は終わり、明日からはパート3に入ります。

 パート3では、米国のがん成績開示状況を見ることで、今後の日本のがん生存率開示の方向のヒントを探ります。

 パート4では、現在の成績開示の問題点を整理し、将来像を探る予定です。

 読者からのご感想、情報提供を参考にさせていただきますので、医療関係者だけでなく、患者関係者など一般の皆様も含めまして、何かご意見などありましたらメールをいただければ幸いです。

(埴岡健一、日経メディカル

*随時掲載ですが、当面は毎日掲載する予定です。
*読者からの情報提供をお待ちしています。癌の治療成績に関するデータやご意見があれば、お寄せください。今後の連載の参考にさせていただきます。
宛先:khanioka@nikkeibp.co.jp

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