2004.03.03

WHI試験の「エストロゲン単剤試験」も早期中断

 米国国立衛生研究所(NIH)は3月2日、閉経後女性を対象とした大規模試験「WHI」(Women's Health Initiative、関連トピックス参照)のうち、エストロゲン単剤の効果を調べる試験を早期中断したと発表した。WHI試験では、エストロゲン−プロゲスチン合剤を用いたプラセボ対照試験が既に早期中断されており、これで同試験のうちホルモン補充療法に関する部分は完全に中止された。

 WHI試験は、50〜79歳の閉経後女性およそ16万人を対象に、ホルモン補充療法や食事療法などが心疾患や乳癌などの予防に役立つかを調べる長期試験。その一環として、約2万7000人を対象に、ホルモン補充療法の疾患予防効果を調べるプラセボ対照試験が行われている。この試験では、子宮切除術を受けていない女性(約1万6000人)には「エストロゲン−プロゲスチン合剤」、子宮を切除した女性(約1万1000人)には「エストロゲン単剤」を用いていた。

 ところが、エストロゲン−プロゲスチン合剤使用試験の中間解析で、ホルモン補充に心疾患の予防効果がなく、乳癌リスクを有意に高めることが判明。合剤を用いた試験は2002年7月に予定より早く中断され、エストロゲン単剤を用いる試験だけが継続されていた。

 今回、NIHは残ったエストロゲン単剤試験の年次中間解析を実施。これ以上試験を継続しても心疾患の予防効果の立証には至らない上、ホルモン補充療法群では脳卒中発症率が有意に高いことが判明、試験の早期中断を決めたという。

 試験中断時までの平均追跡期間は約7年。NIHでは、今年2月末までのデータを基に、2カ月以内に結果を論文発表する予定だ。

 なお、NIHは今回、WHIのホルモン補充療法試験参加者のうち、65歳以上の人を対象とした「WHI-Memory Study」(WHIMS)の、予備的な解析結果も発表している。ホルモン補充を受けた人の方が、痴呆や軽度認知機能障害を起こすリスクが有意に高いことがわかったという。

 NIHでは今後、先に中断されたエストロゲン−プロゲスチン合剤試験の参加者も含め、ホルモン補充療法を受けた参加者の長期追跡を続け、ホルモン補充療法の長期的な影響について評価する予定だ。

 この件に関するNIHのニュース・リリースは、こちらまで。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2003.8.8 早期中断のホルモン補充療法試験「WHI」、最終結果がNEJM誌に掲載]https://medical.nikkeibp.co.jp/regist/medi_auth.jsp?id=1/mdps/261163

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 最年少教授が拓く「臓器の芽」による新移植医療 特集◎再生医療はここまで来た!《4》 FBシェア数:162
  2. いざ本番!失敗しない「試験直前の過ごし方」 総合内科専門医試験 「一発合格」への道 FBシェア数:21
  3. お尻に注入しないで!(食事中に閲覧しないで) 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:121
  4. 若年男性に生じた腹痛、必ず聞くべきことは? カンファで学ぶ臨床推論 FBシェア数:0
  5. 製薬企業と医師との付き合い方はどう変わる? ニュースウォッチャー井上雅博の「世相を斬る」 FBシェア数:259
  6. パーキンソニズムの定義変更、早期からL-ドパを トレンド◎パーキンソン病ガイドラインが7年ぶりに改訂 FBシェア数:213
  7. 米国糖尿病学会が薬物治療ガイドライン改訂案 詳報◎CVDや心不全合併例にはSGLT2阻害薬を推奨 FBシェア数:49
  8. 前日の決定を忘れる認知症患者への対応は? アドバンス・ケア・プランニング事始め FBシェア数:98
  9. 初期研修は地方ですべし 「医療」ってなんだっけ FBシェア数:152
  10. ベンゾ長期処方が大幅減額、その対策は? リポート◎診療報酬改定で向精神薬処方がしにくくなる!? FBシェア数:18
医師と医学研究者におすすめの英文校正