2004.01.22

癌が気になる人は「減煙」より「禁煙」を−−米研究

 癌にはなりたくない、でもたばこは止められない−−。そんな人の多くが取り組むのが「減煙」。せめてたばこの量を減らして、少しでも発癌物質を体に入れないようにしようというわけだ。だが、米国で行われた研究で、たばこを吸う本数を減らしても、体に取り込まれる発癌物質の量は意外と減らないことがわかった。研究結果は、米国国立癌研究所(NCI)が発行するJournal of the National Cancer Institute誌1月21日号に掲載された。

 たばこが関係する癌というと、真っ先に頭に浮かぶのが肺癌。しかし、実は肺癌のほかにも、胃癌や肝臓癌、頭頚部癌、膵臓癌など様々な癌にかかるリスクが喫煙により増えることがわかっている。ちなみに、一昔前に「たばこを吸う人では乳癌が少ない」との発表があったが、その後の大規模な調査で、身内に乳癌の人がいない(乳癌の家族歴がない)人ではやはり、たばこで乳癌にかかるリスクが増えることが判明している。

 たばこには様々な発癌物質が含まれているが、なかでもNNALと呼ばれる物質は、尿検査でどれだけの量が体内に取り込まれたかがわかる。そこで、米国Minnesota大学のStephen S. Hecht氏らは、153人の「わかっちゃいるけどやめられない」喫煙者に協力してもらい、ニコチン補助療法などを使って、半年かけてたばこの量を4分の1にまで減らす実験を行った。たばこを減らすと、NNALの量も減るかどうかを調べる実験だ。

 すると、153人中65人は、実験開始から1カ月でたばこの量をほぼ半分に減らすことに成功。2カ月目には目標である「4分の1まで減煙」を達成、半年後もそのペースをキープできた。1日1箱(20本)吸っていた人なら、1日5本にまで減らしたというわけで、なかなかのもの。

 ところが、尿に含まれるNNALやその代謝物の量は、最初の1カ月で3割減ったが、その後は全く減らなかった。たばこの本数をがんばって減らしたのに、努力が報われなかったわけだ。

 どうしてこんなことになってしまうのだろうか−−。Hecht氏らはその原因の一つが、「たばこの吸い方の変化」にあるとみる。たばこの本数を減らした人では、1本のたばこを以前よりもフィルターに近いところまで吸ったり、煙を深く吸い込んでしまう。減煙に意味が無いわけではないが、この「代償行動」のため、思ったほど効果が出ないらしい。癌が気になる喫煙者は、たばこを減らそうとするよりも、思い切って止めた方がいいようだ。

 この論文のタイトルは、「Effects of Reduced Cigarette Smoking on the Uptake of a Tobacco-Specific Lung Carcinogen」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

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