2004.01.07

コーヒーの2型糖尿病予防効果に新知見、効果の主因はカフェインか

 男性4万人、女性8万人を最長18年間追跡した米国の大規模コホート研究で、コーヒーを1日6杯以上飲む人では、2型糖尿病の発症率がコーヒーを飲まない人より大幅に低いことがわかった。一方、カフェイン抜きコーヒーを飲む人では、2型糖尿病の発症率が飲まない人より低いものの“予防効果”は通常のコーヒーほどではなく、2型糖尿病の予防には「カフェインが最も効いているのでは」と研究グループはみている。研究結果は、Annals of Internal Medicine誌1月6日号に掲載された。

 コーヒー愛飲者で2型糖尿病の発症率が低いことを最初に報告したのは、オランダの研究グループ。男女1万7000人を7年間追跡したコホート研究の結果で、日本からも同様の結果が報告されるなど、大きな話題となった(関連トピックス参照)。しかし、日本や欧州ではカフェイン抜きコーヒーを飲む人が少なく、コーヒーに含まれるどの成分が予防的に働くのかについては、十分な検討が行われていなかった。

 今回発表された研究は米国で行われたもので、米国ではカフェイン抜きコーヒーを飲む人が比較的多いため、「カフェイン入り」と「カフェイン抜き」の比較が可能だ。研究では、薬剤師や歯科医、獣医師らの男性医療従事者が参加する「Health Professionals' Follow-up Study」と、女性看護師が参加する「Nurses' Health Study」のデータを解析した。ちなみに米国では、医師や薬剤師、看護師など、医療従事者が参加する大規模なコホート研究が古くから行われており、病気の治療や予防に役立つ様々なデータが得られている。

 男性コホートの「Health Professionals' Follow-up Study」の総参加者数は5万1529人。うち、解析開始時に2型糖尿病や冠動脈疾患、癌を発症しておらず、コーヒーなどカフェイン飲料の摂取量に関するデータが揃っていた4万1934人を解析対象にした。女性コホートの「Nurses' Health Study」の総参加者数は12万1700人で、解析対象は8万4276人だった。追跡期間は、男性コホートが12年、女性コホートが18年。

 その結果、オランダの研究と同様に、カフェイン入りコーヒーをよく飲む人には喫煙者が多く、高脂肪の食品を好み、1日の総摂取カロリーが高く、運動不足の人が多いことが判明。要するにコーヒー愛飲者には不健康な生活習慣を持つ人が多かったわけだが、体格指数(BMI)に差はなく、2型糖尿病の発症率は低かった。

 研究グループは、上に挙げた要素のほか、年齢や糖尿病の家族歴など様々な要素で補正した上で、1日に飲むカフェイン入りコーヒーの量と2型糖尿病の発症率との関連を調べた。すると、カフェイン入りコーヒーを全く飲まない人と比べ、1日6杯以上飲む人では、2型糖尿病の発症率が男性で5割、女性で3割低くなる計算になった。

 次に研究グループは、カフェイン抜きコーヒーについて同様の検討を行った。すると、カフェイン抜きコーヒーの場合、男性では愛飲者の2型糖尿病発症率は飲まない人の3割減、女性では2割減に留まり、カフェイン入りコーヒーよりも“予防効果”が少ないことがわかった。

 カフェインはこれまで、インスリン抵抗性を上げて2型糖尿病を引き起こす方向に働くと考えられていたが、今回の結果はまさに正反対。研究グループは、カフェインの“悪玉”作用は短期的な作用にすぎず、長期的に摂取した場合は逆に、糖代謝に良い作用を及ぼす可能性があると考察している。

 この論文のタイトルは、「Coffee Consumption and Risk for Type 2 Diabetes Mellitus」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2003.2.26 「コーヒー愛飲者は日本人でも糖尿病が少ない」、Lancet誌通信欄で紹介


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