2003.12.22

【解説】 パートの厚生年金の適用拡大、医療界も反対の声を

 12月16日、与党年金制度改革協議会は、「2004年年金制度改革について」という合意文書を公表した。18.35%を上限として、来年10月から毎年0.354%ずつ保険料を引き上げることなどが盛り込まれている。病医院でも医療法人はすべて、個人も常時従業員が5人以上いれば厚生年金の適用事業所となるから、保険料の半額を負担する医療機関にとって、この引き上げは無視できない。

 これから本格的に議論されるパートの厚生年金の適用拡大となると、影響は極めて大きい。現在は正社員の所定労働時間の4分の3以上勤務するパートタイマー、おおむね週30時間以上働く人だけを加入させればいいが、経過措置があるとはいえこれが週20時間に引き下げられるのだ。週5日午前中だけ働く人や、週3日フルタイムで働く人などが新たに加入対象になりそうだ。診療所の開業支援を多く手がけるコンサルタントは、「20時間に引き下げられたら顧問先のほとんどが影響を受ける。医療界にとって大問題だ」と言う。

 にもかかわらず、日本医師会は、外食や小売りといったパート労働力に依存している業界とは違って、表だって反対の声を挙げてはいない。診療報酬改定という大事があるとはいえ、多数の医療機関に負担をもたらすこの問題に、なぜ抵抗しようとしないのだろう。

 今から7、8年前、社会保険に加入させる義務があるのにそれを怠ったとして、医療法人の理事長らが社会保険事務所に呼びされると出来事が全国各地であった。その時ある医師会の担当者は、「法律で決まっているんだから、どうしようもありませんよ」とため息をついていた。「法律で決まっていることを無視してしまってもなんとかなる」が通用しないという教訓を、医療界は得たはずだ。

 パートタイマーの厚生年金の適用拡大は、年金財源確保のために厚生労働省が持ち出してきた色合いが強い。当のパートタイマー自身が、必ずしも加入を望んでいるわけでもない。反対を打ち出すことに、世論の後押しも十分期待できる。日本医師会も、介護会社などの業界団体を巻き込んで、反対の声を挙げてはいかがだろうか。
(井上俊明、日経ヘルスケア21編集委員)

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