2003.12.11

“シック”タンスにご用心! 居室内装には使えない合板使用の市販品あり−−都の調査で判明

 帰宅して着替えると目がしばしばする、子どもが育ってタンスを買い換えたら急にアトピーが始まった−−こんな場合はタンスの合板から出るホルムアルデヒドが犯人かもしれない。タンスにしまった衣類には、合板からホルムアルデヒドが染み込む「移染」と呼ばれる現象が起きるためだ。東京都が市販のタンスやウッドカーペット、ベビーベッドなどを調査したところ、多くの製品に、現在では居室の内装には使えない合板が使われていることが判明した。

 東京都健康局は2002年に市販のタンス8製品について、ホルムアルデヒド放散量の調査結果を発表しているが、新たにベビーダンス5製品、ベビーベッド3製品、ウッドカーペット2製品を含め、使用されている合板に含まれるホルムアルデヒドの調査を実施、このほど結果を発表した。

 合板には、旧JAS規格でFc0〜Fc2、新規格ではF☆〜F☆☆☆☆(1スター〜4スター)の規格があり、ホルムアルデヒド放散量の平均値と最大値、内装への使用基準が定められている。ところが、家具については建築基準法に相当する指針や基準がないのだという。

 東京都では、一般タンスの1製品について5カ所、切片を切り出し、ホルムアルデヒドの放散量を調査した。その結果、8製品の40切片のうち、16切片(40%)が、現在では内装には使えないFc2級相当の合板を使っており、2切片からはFc2の基準を超えるホルムアルデヒドが検出された。Fc1級は7切片(18%)、Fc0級は16切片(40%)だった。

 これに対して、ベビーダンスは成績優秀だった。5製品の各7切片、計35切片を調べたところ、Fc2級は2切片(6%)だけで、Fc1級が10切片(29%)、Fc0級が23切片(66%)という結果だった。放散量の平均値では、一般のタンスが1.9μg/mlだったのに対し、ベビーダンスは0.6μg/mlと3分の1以下だった。

 タンスでこわいのは、「移染」と呼ばれる現象。収納した衣類にホルムアルデヒドが吸着されることだ。都が試験対象のタンスに靴下とマフラーを入れ、96時間後に移染の度合いを調べたところ、一般のタンスに入れたマフラーは66.3ppm、靴下は36.8ppmのホルムアルデヒドが検出された。これに対してベビーダンスでは、マフラーが14.1ppm、靴下は5.0ppmで、ベビーダンスは4分の1から7分の1と少なかった。有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律では、2歳(24カ月)以下の子ども用衣類は、ホルムアルデヒドは「検出しないこと」、子ども用、大人用衣類は「75ppm以下」と規定されている。基準内ではあるが、敏感な人やさらに長時間収納していた場合には心配な結果だ。

 一方、和室などを簡単にフローリングにできるとして人気があるウッドカーペットは驚くべき結果になった。調査した2製品から切り出した3切片のホルムアルデヒド放散量は、12.8μg/ml、15.7μg/ml、17.7μg/mlと、内装建材としては不適とされるFc2級の最大値7.0μg/mlの1.8〜2.5倍という高い濃度が検出された。これは床材として使用できるFc1級の最大値の6.1〜8.4倍に相当する。床全体に敷くだけに健康への影響が心配される値だ。

 ベビーベッドも成績は良好だった。調査対象の3製品の床材は0〜0.1μg/mlとホルムアルデヒドの放散はほぼ皆無、子どもがしばしば噛んだりなめたりする枠材も0〜1.8μg/mlと少なかった。ところが、頭板については1製品は0.2μg/mlと少なかったが、他の2製品は3μg/ml、8.7μg/mlという結果だった。8.7μg/mlという値はFc2級の最大値7.0μg/mlを超えている。ベビーベッドには頭板のない製品もあるので、都では「子どもの頭部に近い板から多くのホルムアルデヒドが放散されることになるので、身体への影響を考え、頭板のない製品を選ぶ方がよいかもしれない」としている。

 ホルムアルデヒドは、慢性毒性として結膜炎、鼻咽頭炎、皮膚炎などを起こすことが知られているので、敏感肌やアトピーなどアレルギー体質の人や子どものいる家庭では、ベビーダンスに切り替える、特にアトピーのひどい乳幼児などでは、洗濯後、タンスにしまわずにすぐ着せる、ウッドカーペットは使わないといった対策をした方がよさそうだ。

 東京都の調査報告はこちらまで。(中沢真也)

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