2003.12.11

テレビを見る子は野菜を食べない−−米調査

 米国の小学6年生約550人を対象にした調査で、運動量や家庭環境など様々な要素で補正した後も、テレビを見る時間が長い子どもほど野菜や果物の摂取率が低いことがわかった。さらに、1年半後に行った再調査では、テレビを見る時間が増えた子どもほど野菜や果物の摂取率が減っていたという。調査結果は、米国小児科学会の学術誌であるPediatrics誌12月号に掲載された。

 テレビをよく見る子どもほど太っている、キレやすい、油ものをよく食べる−−。そんな調査結果はこれまでにもたくさん報告されている。「テレビは子どもの健康に悪い」、そう言いたくなる結果だが、データを解釈するには色々な点で注意が必要だ。例えば、太っているのはテレビのせいというよりも、運動不足のためかもしれない。食生活の偏りも、平たく言えば“子育ての手抜き”、つまり子どもにテレビを漫然と見せておく姿勢が反映されているだけかもしれない。

 そこで、米国Harvard大学公衆衛生学部門のRenee Boynton-Jarrett氏らは、このようなバイアスをできるだけ補正して、純粋にテレビ視聴時間と野菜・果物摂取との関連を分析できるよう工夫した調査を実施した。

 具体的な工夫点として、まず、クラブ活動などによる1週間の運動量を尋ね、運動量の違いによる影響を補正。「週に何回、家族揃って夕食を食べるか」を聞いて、親の“子育ての手抜き度”の指標にした。少食の子どもでは野菜・果物を食べる量も減る可能性があるので、野菜・果物摂取は「量」ではなく、1日の摂取エネルギーに占める「率」で評価。ビデオを見た時間やテレビゲームをした時間は、テレビを見た時間とは別に集計し、解析では純粋にテレビの影響が反映されるようにした。

 調査に協力したのは、米国Massachusetts州にある四つの公立初等学校。6年生と7年生(日本の小6、中1に相当)のクラスで、授業の一環として、子ども自身に自分の食事内容やテレビの視聴時間などを調べてもらった。さらに、研究グループは19カ月後にもう一度、同じ調査を行い、テレビ視聴時間の変化による影響についても調べた。2回の調査に協力した子どもは全部で548人、平均年齢は11.7歳で、男女比はほぼ半々。59%が白人、15%がヒスパニック、14%が黒人、8%がアジア系だった。

 その結果、最初の調査でテレビの視聴時間が長かった子どもほど、運動量や家庭環境、ビデオ・ゲーム時間などで補正した後も、野菜・果物の摂取率が低いことが判明。二度目の調査からは、最初よりテレビの視聴時間が延びた子どもほど、野菜・果物の摂取率が下がっていることも明らかになった。

 なぜテレビを長時間見る子どもほど野菜や果物を食べないのかは不明だが、Boynton-Jarrett氏らは、テレビコマーシャルの影響が大きいと考えている。ジャンクフード(くず食品、栄養にならない食べ物)のコマーシャルがまず子ども、さらには食品を購入する親に影響し、摂食行動を左右しているというのだ。子どもにテレビを見せる時は、まず録画して、コマーシャルを飛ばして見せる方が良いのかもしれない。

 この論文のタイトルは、「Impact of Television Viewing Patterns on Fruit and Vegetable Consumption Among Adolescents」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

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