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2003.12.09

カルシウムによる大腸腺腫の再発予防効果、血中ビタミンD濃度に依存

 カルシウムの大腸腺腫再発予防効果を示したプラセボ対照試験のサブ解析で、カルシウム服用群にみられた再発予防効果が、血中ビタミンD濃度が高い人のみに現れていたことがわかった。大腸腺腫の再発予防に、カルシウムとビタミンDが協同的に作用することを示す結果で、Journal of National Cancer Institute(JNCI)誌12月3日号に掲載された。

 カルシウムの代謝には、ビタミンD代謝物がホルモンとして作用することが知られている。カルシウムの腸管からの吸収や、骨への作用においては、常に十分なビタミンDが必要だ。しかし、カルシウムの大腸腺腫再発抑制作用において、ビタミンDが関与しているか否かはわかっていなかった。

 解析対象となった臨床試験は、4年前にNew England Journal of Medicine(NEJM)誌に掲載、大きな話題を呼んだ「The Calcium Polyp Prevention Study」。この試験では、大腸腺腫の既往がある930人(平均年齢61歳、男性比率72%)を無作為に2群に分け、カルシウム(1日量:1200mg)またはプラセボを連日服用してもらった。4年後の大腸腺腫再発率は、カルシウム群でプラセボ群より相対的に15%、有意に低いことが確認されている(NEJM;340,101,107)。

 米国Dartmouth医科大学公衆・家庭医学部門のMaria V. Grau氏らは、同試験の参加者のうち803人について、研究参加時の保存血清を用いて血中ビタミンD濃度(25OHD及び1,25(OH)2D)を測定。ビタミンD受容体の二つの多型(Taq I、Fok I)についても調べ、大腸腺腫予防効果との関連を検討した。

 その結果、血中の25OHD濃度が中央値(29.1ng/ml)より高かった人では、4年間の大腸腺腫再発がカルシウム服用で有意に抑制されることがわかった(相対リスク:0.71、95%信頼区間:0.57〜0.89)。ところが、25OHD濃度が中央値以下だった人の場合、カルシウム群とプラセボ群との大腸腺腫再発率に差は認められなかった(相対リスク:1.05、95%信頼区間:0.85〜1.29)。

 一方、プラセボ群のみの解析では、血中25OHD濃度の高低と大腸腺腫再発率とには関連がないことが判明。「血中25OHD濃度が高い人が、カルシウムを服用した」場合のみに、大腸腺腫の再発抑制効果が現れることが明らかになった。なお、1,25(OH)2D値に関してはこのような関連はみられず、ビタミンD受容体の二つの多型と大腸腺腫再発率とにも関連は認められなかった。

 研究グループは、「カルシウムとビタミンDは、独立にではなく、協調して働くことで大腸腺腫の再発を抑制する。この作用にビタミンD受容体の多型は関連しない」と結論。論文に対する論説では、どの程度のカルシウムとビタミンDを摂取すればよいか、具体的な提言を行うためにも、更なる介入試験が必要だと論じている。

 この論文のタイトルは、「Vitamin D, Calcium Supplementation, and Colorectal Adenomas: Results of a Randomized Trial」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

■ 参考トピックス ■
◆ 2003.10.14 日本骨粗鬆症学会速報】ビタミンDが高齢者の転倒を4割減少、Ca製剤の併用で転倒による骨折も予防−−特別講演より