2003.12.09

アデノウイルス・ベクターによるSARSワクチンが開発、サルで特異免疫の活性化を確認

 米国Pittsburgh大学と米国疾病対策センター(CDC)の共同研究チームは、アデノウイルス・ベクターを用いる重症急性呼吸器症候群(SARS)のワクチン開発に成功した。アカゲザルを用いた接種試験で、SARSウイルス特異的な抗体やT細胞の産生を確認したという。研究結果は、Lancet誌12月6日号に掲載された。

 研究グループは、SARSウイルスのスパイク蛋白(ウイルスの外側に突き出した刺状構造)や膜蛋白、ヌクレオカプシド(ウイルスRNAを包む蛋白)の一部を発現するよう最適化した遺伝子を合成。複製能を司る領域を除去したアデノウイルス・ベクターに組み込み、ワクチンを作成した。このワクチンを6匹のアカゲザルに筋注、対照群として合成遺伝子を組み込まないベクターのみを2匹のアカゲザルに筋注し、6週間追跡してSARSウイルス特異免疫を比較した。

 その結果、SARSワクチンを接種した6匹では、SARSウイルスのスパイク蛋白特異的な抗体発現や、ヌクレオカプシドに対するT細胞性免疫活性の上昇が確認。空のベクターを接種した2匹では、そうしたSARS特異的な免疫活性は見出せなかった。中和試験でも同様に、SARSワクチンを接種した6匹でのみ中和活性の上昇が認められた。こうしたSARSウイルスへの特異免疫は経時的に増強することも確認できた。

 今回の試験はあくまで、霊長類に対し、SARSワクチンの接種でSARSウイルス特異的な免疫能が活性化されることを示したもの。研究グループは、次のステップとして、ワクチンを接種した動物にSARSウイルスを感染させ、発病を防げるかをみる「チャレンジ試験」が必要だと強調している。

 この論文のタイトルは、「Effects of a SARS-associated coronavirus vaccine in monkeys」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。(内山郁子)

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