2003.12.08

【性感染症学会速報】 オーラルサービス提供する性風俗従事女性の3割に咽頭のHPV感染 

 口腔を用いた性風俗サービス(オーラルサービス)を提供する性風俗従事女性171人を対象として、ヒトパピロマウイルス(HPV)の感染を調べたところ、約3割の女性で咽頭部のHPV感染が確認された。全体の約22%の女性では子宮頚部と咽頭の双方にHPV感染が見られたが、同じ型のウイルスによる感染は少なく、咽頭については性風俗サービスを提供した客から感染した可能性があるという。 金沢大学医学部保健学科の笹川寿之氏が、12月6日の一般口演「HPV」で明らかにした。

 笹川氏らの研究グループは、 2002年8月と2003年2月に共同研究医療機関を受診した18歳から38歳までのオーラルサービスを行う性風俗従事女性のうち、同意を得た171人の咽頭と子宮頚部の擦過細胞を採取した。このうち27人は6カ月の間隔で2度検体を採取し、持続感染の有無について調べた。

 DNAチップを用いて採取した検体のHPVウイルス検出と型の同定を行ったところ、咽頭の感染率は28%、子宮頚部の感染率は56%だった。両部位に同時感染している対象者も22%おり、69%がいずれかの部位に感染していた。

 検出されたHPVは26タイプあり、感染率が高い上位10タイプの感染率を調べたところ、子宮頚部では、上位10タイプ中8タイプ、咽頭では同じく7タイプが、子宮頚癌と関連性が高いとされるいわゆる高リスク型の感染だった。しかし、上位5タイプについて見ると、子宮頚部については、5タイプ中4タイプが高リスク型だったのに対し、咽頭では上位5タイプ中、高リスク型は2タイプで、子宮頚部の感染例では高リスク型がより多かった。

 咽頭部と子宮頚部の双方に感染している例が全感染者22%あったが、両部位のウイルス型が一致しているのは、全感染者の9%(同時感染者の41%)と少なかった。笹川氏は、感染経路(客とステディパートナーなど)が異なる可能性を示唆していた。

 一方、HPV感染リスクと関連する因子を調査したところ、咽頭HPV感染については、ピル非使用者の感染率が38%だったのに対して、ピル服用者の感染率は21%と低く、相対危険率0.36(95%CI=0.15-0.92)と有意に低かった。子宮頚部のHPV感染では、膣カンジダ感染で相対危険率が2.3倍(95%CI=1.1−5.0)、咽頭の淋菌感染で同2.1倍(95%CI=1.0−4.5)の2項目で有意なリスク上昇が見られた。ピル服用と咽頭HPV感染のリスク低下の関連性については、断面調査であるために因果関係は不明だが、笹川氏は、今後、プロスペクティブな検討を加えたいとしていた。

 本研究では風俗従事女性の咽頭から客へのHPV感染には言及していないが、風俗従事者と利用客の相互感染があるとすれば、HPV感染を拡大する可能性を示唆する結果であり、憂慮される事態と言えそうだ。(中沢真也)

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