2003.12.04

「バーチャル内視鏡」が大腸癌スクリーニングに威力、通常の内視鏡と同程度の感度でポリープを検出

 X線CTで腹部を撮像、3次元画像を再構成して腫瘍やポリープを診断する「バーチャル内視鏡」検査と、実際に大腸に内視鏡を挿入して行う検査とで、大腸ポリープの検出感度がほぼ同程度であることがわかった。1233人の無症状成人を対象に行われた臨床試験の結果で、無症状者を対象とした試験で両手法の同等性が示されたのは初めて。大腸内視鏡を体内に挿入せずに、大腸癌の「スクリーニング検査」が行える時代が、いよいよ到来したと言えそうだ。研究結果は北米放射線学会(RSNA)で12月1日に発表、原著論文がNew England Journal of Medicine誌12月4日号に掲載される予定で、同誌ホームページ上での早期公開が行われた。

 CTや磁気共鳴イメージング(MRI)撮像データの再構成による、バーチャル内視鏡技術が初めて報告されたのは1990年代前半。ポリープが多発しやすい家族性大腸腺腫症(FAP)患者などを対象とした臨床試験では、大腸内視鏡と同程度の感度でポリープを検出できることが示されている。しかし、無症状の一般成人が対象の「スクリーニング検査」としても、同程度の有用性があるか否かはわかっていなかった。

 そこで、米国国立海軍医療センターのPerry J. Pickhardt氏らは、無症状の成人1233人(平均年齢:57.8歳)を対象に、両手法のポリープ検出感度を比較する臨床試験を実施。通常の大腸内視鏡検査と同じ前処置(便排泄と大腸内の洗浄)を行った後、午前中にX線CTによるバーチャル内視鏡検査、午後に通常の大腸内視鏡検査を行い、ポリープの検出力を調べた。大腸内視鏡検査を行う際、内視鏡医は最初は普段通りにポリープを検索し、次にバーチャル内視鏡の検査結果を参考に徹底的な検索を行った。

 その結果、検査を受けた人の7.5%に、直径10mm以上のポリープが発見。徹底的な検索で見付かったポリープ(直径10mm以上)のうち93.8%はバーチャル内視鏡検査でも見付かったが、普段通りの内視鏡検査ではこのサイズのポリープの検出率は87.5%で、感度はほぼ変わらないことがわかった。より小さいサイズのポリープでも、両検査の検出感度はほぼ同程度だった(8mm以上:93.9%対91.5%、6mm以上:88.7%対92.3%)。

 見付かったポリープのうち二つは悪性で、うち一つはバーチャル内視鏡検査でのみ検出されたものだった。バーチャル内視鏡検査では、腎臓や膀胱など大腸以外の部位の癌も5人で発見された。一方、バーチャル内視鏡検査の特異度は、ポリープの直径が10mm以上で96.0%、8mm以上で92.2%、6mm以上で79.6%となり、直径が小さくなるほど特異度が下がる傾向があった。

 今回得られたデータが示すのは、腫瘍やポリープの保有率が相対的に低い、一般成人を対象とした「スクリーニング検査」にも、バーチャル内視鏡が十分使用に耐えるということ。例えばバリウム注腸検査の場合、ポリープの検出感度は40%程度と報告されており、とても内視鏡検査の代わりにはならない。「大腸に内視鏡を挿入されるのは嫌だが、癌やポリープの見落としも怖い」という人にとっては大きな朗報になりそうだ。

 ただし、バーチャル内視鏡検査でポリープが発見された場合、結局は大腸内視鏡検査で精査・摘除するため、二度手間になるという考え方もある。小さいポリープでは特異度が下がることを考えると、どこに閾値を設けるかも大きな問題だ。また、人間ドックなどに導入する場合は、両検査の前処置が同じであることを考えると、今回の試験と同じように「午前中にバーチャル内視鏡、有所見者のみ絶食のまま午後に大腸内視鏡」という形式が望ましいが、そのための体制整備も必要になる。

 このように課題は多いものの、約14分と大腸内視鏡の半分の時間で検査が終了し(画像の再構成と診断には別に20分程度かかる)、穿孔など偶発症のリスクがないバーチャル内視鏡で、大腸癌のスクリーニング検査が十分行えることが示された意義は大きい。特に、心理的な抵抗感のために検査を受けていなかった人にとっては、検査を受ける機会を増やす重要なオプションとなるだろう。

 この論文のタイトルは、「Computed Tomographic Virtual Colonoscopy to Screen for Colorectal Neoplasia in Asymptomatic Adults」。アブストラクトは、こちらまで。この件に関するRSNAのニュース・リリースは、こちらまで。(内山郁子)

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