2003.11.10

【AHA2003速報】 家庭用AED、訓練を受けていない初心者でも高い除細動成功率を実現

 自動体外式除細動器(AED)の中で、一般市民が利用することを想定した機種は公衆アクセス型除細動器(PAD)と呼ばれ、医療知識のほとんどない一般人が緊急事態でも間違いなく除細動を実施できるように工夫されている。しかし、新たに開発された家庭用AEDと比較すると、全くの初心者が操作した場合には、除細動の成功率に大きな差が出ることが分かった。米Maryland大学救急医のSonia F. Callejas氏が、11月8日に開催された蘇生医学シンポジウムで発表した。

 Callejas氏らの研究グループは、事前に訓練を受けたことがないボランティア259人のうち、132人をP社の従来機種「FR2」に、また127人を同社の家庭用機種「HeartStart Home(HSH)」に割り当てた。さらに各機種について、初心者グループと訓練グループに無作為に振り分け、訓練グループにはトレーニング用のビデオを見せ、初心者グループには何の訓練も行わなかった。

 機種と訓練の有無で分けた4グループに対して、マネキンを用いて除細動の操作を行わせ、電極パッドの貼り付け方の適切さ、パッド貼り付けまでの時間、ショック(除細動実施)までの時間、総合的な除細動成功率を測定した。

 その結果、どちらの機種でもトレーニングを受けたグループは初心者に比べ、パッドの貼り方が適切で除細動成功率が高く、実施までの時間が短縮していた。しかし、FR2では、パッドを適切に貼る作業の成功率が、初心者グループでは57.1%だったのに対して訓練グループは85.5%と有意に高かったが、HSHでは初心者グループが90.6%に対して訓練グループは92.1%で有意差は見られなかった。総合的な成功率も同様で、FR2では初心者グループ50.0%に対して訓練グループ85.5%、HSHでは初心者グループ82.8%に対して訓練グループ88.9%で有意さは見られなかった。

 FR2におけるショックまでの時間は、初心者グループが111.2秒に対して訓練グループが96.3秒、HSHでは初心者グループが117.5秒に対して訓練グループでは91.3秒で、どちらの機種も初心者グループと訓練グループの間で有意な差が見られたが、機種間では差がなかった。

 FR2はケースを開けてAEDを取り出し、同梱されているポーチから電極パッドを取り出して本体のコネクタに接続する必要がある。HSHではPullと書かれたハンドルを引くと電極パッドが現れ、しかもあらかじめ本体に接続されている。両機種とも音声による操作ガイドが行われるが、HSHでは患者の脱衣を指示する。Callejas氏は、「初心者はパッドを服の上から貼り付けるなどといった操作をすることがある。脱衣の指示は欠かせない」と指摘していた。

 今後、日本でも講習を受けた非医師に対してAEDの使用が許可される方向だが、使用の機会が極めてまれな一般市民にとっては、医療関係者では想像がつかないような操作ミスが発生する可能性がある。より容易な操作環境は不可欠と言える。(中沢真也)

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