2003.10.14

【糖尿病合併症学会速報】 2型糖尿病患者に対する平均20日間の短期運動療法で動脈硬化度が改善

 糖尿病患者に対する運動療法は、血糖値コントロールだけでなく、様々な合併症につながる動脈壁硬化度を比較的短期間で改善するようだ。10月10日のワークショップ10「末梢循環障害」で、大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学教室の横山久代氏(写真)が報告した。

 横山氏らの研究グループは、2型糖尿病患者23人(男性6人、女性17人)に対して、1日当たり40分間、週5回のエルゴメータによる運動(平均強度は最大心拍数の50.7%)と毎日のウォーキング(平均8961歩/日)を課した。平均追跡期間は19.9日である。患者は平均年齢53.0歳、平均糖尿病罹病期間が6.6年で、いずれも細小血管障害を有しない。

 運動療法前後で、総頸動脈と大腿動脈の動脈壁硬化度とインスリン抵抗性、そのほかの臨床パラメータを測定した。動脈硬化度は超音波法によるStiffness index βで、インスリン抵抗性は正常血糖クランプ法によって測定した。

 その結果、運動前後では総頸動脈の動脈壁硬化度は、Stiffness index βで平均12.8から10.5に、大腿動脈では同じく、平均15.9から8.7といずれも有意に低下した。

 血糖クランプによるインスリン抵抗性は、有意差はないが運動前後で改善の傾向(P=0.061)を示した。運動前後のインスリン抵抗性の変化量によって対象患者を3群に分けたところ、変化が大きい群ほど動脈壁硬化度の改善が有意に大きく、総頸動脈に比べ、大腿動脈の方が、改善度がより大きかった。

 そのほかの検査値では、BMI、体脂肪率、収縮期血圧などには運動前後で有意な変化はみられなかったが、血糖値は平均で141mg/dlから116mg/dlへ、また血清総コレステロールは平均200mg/dlから176mg/dlへ有意に低下した。

 これらの結果から横山氏は、短期運動療法がインスリン抵抗性との関連が既に確認されている血管内皮機能の改善を介して、動脈壁硬化を改善していること、また、大腿動脈壁で特に硬化度の改善が大きかったことから、運動が動脈壁に対して直接的な効果をもたらしている可能性があることを示唆した。ただし、一般的な50歳代女性にとって、本研究の介入プロトコルはかなり負荷が高いものであり、介入後の自発的継続は難しそうだ。改善後の維持的運動療法についても今後の検討課題になると思われる。(中沢真也)

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