2003.09.22

原発性肺高血圧にHHV-8感染が関与か、患者の6割で肺組織感染が確認

 原発性の、つまり原因不明の肺高血圧症の病態に、ヒトヘルペスウイルス8(HHV-8)の肺組織感染が関与している可能性が出てきた。抗HHV-8抗体を用いた免疫組織学的検討で、家族歴が無い原発性肺高血圧症患者16人中10人に、病変のHHV-8感染が確認。一方、心奇形に伴う肺高血圧症(アイゼンメンガー症候群)やヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)感染など、明確な病因がある続発性の患者10人では、病変へのHHV-8感染は一人も認められなかったという。発症因子か増悪因子かとの検証は必要だが、現状では肺移植か対症療法しかない同疾患に対する、第三の治療法につながる知見となりそうだ。研究結果は、New England Journal of Medicine(NEJM)誌9月18日号に掲載された。

 HHV-8は1994年に発見された8番目のヒトヘルペスウイルス。カポジ肉腫の組織から発見されたため、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)とも呼ばれる。米国Colorado大学肺高血圧センターのCarlyne D. Cool氏らは、HHV-8の感染率が比較的高いHIV-1感染者が、しばしば肺高血圧症を合併することに着目。カポジ肉腫と肺高血圧の叢状病変(plexiform lesion)に組織学的な類似点も多いことから、原発性、二次性の肺高血圧患者におけるHHV-8感染を評価した。

 対象は、HIV-1感染など明確な病因や家族歴がない原発性の肺高血圧患者16人と、HIV-1感染や心疾患などに対する続発性の肺高血圧患者10人。対照として、特発性肺炎など他の肺疾患患者5人についても調べた。

 その結果、原発性の16人中10人で、叢状病変から周辺の細胞にかけてHHV-8が感染していることが確認。この10人では血中にもHHV-8のDNA断片が認められた。一方、続発性の10人と対照の5人では、HIV-1への感染の有無に関わらず、病変部へのHHV-8感染は見出せなかった。

 研究グループは、「原発性肺高血圧の病変部にHHV-8が感染しやすいとの可能性もある」と、HHV-8感染が“原因”ではなく“結果”である可能性も示唆。その上で、HHV-8感染者の病変組織には、同じ遺伝情報を持つ変異細胞(モノクローナル)の増殖などカポジ肉腫と似た性質がみられることから、HHV-8が少なくとも増悪因子として作用しているのではないかと論じている。

 この論文のタイトルは、「Expression of Human Herpesvirus 8 in Primary Pulmonary Hypertension」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

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