2003.09.11

【日本心臓病学会速報】 睡眠時の呼吸障害、うっ血性心不全の独立した予後因子に

 うっ血性心不全による入院患者連続100人を前向きに追跡した研究で、患者の4割が睡眠時の呼吸障害(SDB)を合併しており、SDBの合併者では総死亡率や再入院率が有意に高いことが明らかになった。うっ血性心不全患者には特に中枢型の睡眠時無呼吸症候群が多いことが知られているが、今回の研究でSDBが年齢や心機能などとは独立した予後規定因子であることもわかり、「より早期の診断・治療を含めた積極的な介入が必要」と研究グループは強調している。研究結果は、順天堂大学循環器内科の大村貴康氏らが、9月10日の一般口演で報告した。

 解析対象は、左心不全で入院し、退院直前に神経体液性因子と睡眠中の酸素飽和度(SaO2)を測定、3カ月以上追跡できた連続100人。平均年齢は61.8歳、8割が男性で、平均体格指数(BMI)は21.8。4割が虚血性の心不全でNYHA心機能分類の2〜3度が68%を占め、左室駆出率(LVEF)の平均値は29%だった。

 酸素飽和度低下指数(4%ODI;睡眠中にSaO2が4%以上低下した1時間当たりの回数)が5以上をSDBと定義すると、100人中41人がSDBを合併していることが判明。睡眠中の平均SaO2はSDB合併者で有意に低く(95.3%対96.9%)、BMIは有意に高かった(23.0対20.1)が、年齢や男女比、神経体液性因子検査値などに有意差はなかった。

 追跡期間中の再入院率は、総再入院(51%対27%)、心不全による再入院(34%対15%)のいずれも、SDB合併者で有意に多いことが判明。死亡率についても、総死亡が29%対2%、心不全死が15%対0%となり、いずれもSDB合併者で有意に多かった。

 次に大村氏らは、多変量解析で総死亡や総再入院に対する予後規定因子を検討した。その結果、総死亡に関してはLVEF低値、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)高値とSDB、総再入院では脳性ナトリウム利尿ホルモン(BNP)高値とSDBが独立した予後因子であることがわかり、SDBを合併している人では死亡、再入院のいずれもリスクが高いことが明らかになった。一方、年齢やNYHA分類、腎機能(クレアチニン値で評価)と予後とに相関は認められなかった。

 大村氏らは今回得られた結果を「うっ血性心不全患者では高率にSDBの合併があり、かつSDBは独立した予後因子である」と総括。今後、どの時点でSDBに対する治療を、どのような方法で行うかについて検討を進める必要があると話した。(内山郁子)

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