2003.09.09

埼玉医大の抗癌剤過剰投与事件で控訴審始まる 公判後の記者会見で改めて遺族が重い量刑望む

 9月8日、埼玉医大で抗癌剤の過剰投与により患者が死亡した医療事故の、刑事裁判の控訴審が始まった。

 この事件は、古館友理さん(当時16歳)が、週に1回投与すべき抗癌剤を毎日投与され、その過剰投与により2000年10月7日に死亡したもの。さいたま地裁で今年3月20日に言い渡された一審判決では、主治医の墨一郎医師は禁固2年執行猶予3年(確定)、指導医の本間利生医師は罰金30万円、診療科長で同大教授の川端五十鈴医師は20万円の罰金刑とされた。

 主治医、指導医に加え、診療科長の管理責任まで認めた刑事判決は極めて異例のことだが、量刑不当として検察側が川端医師と本間医師を、川端医師側が無実を訴え、それぞれ控訴していた。

 8日の控訴審は、事実確認と次回以降の証人尋問の日取りなどが決められただけで、30分足らずで終わったものの、公判後、被害者の両親、古館文章氏と恵美子氏は会見を開いた。

 古館文章氏は、「民事裁判の過程で入手した埼玉医大の内部調査報告書でさえ、医師の能力の無さが事故の原因だとしている。今回の事故は、医療行為とはかけ離れた重大な過失だ。よく、医師に対し刑事責任を追及するのは萎縮医療につながると指摘されるが、医師としての能力に欠けている人に傲慢な医療を行われたら患者はたまらない。飲酒運転の車の同乗者でさえ、30万円程度の罰金を払わなければならない。これと比較すると、一審での量刑は軽すぎる。高裁でどのような判断が下されるか見守りたい」と話した。

 続いて恵美子氏は、「医師というだけで量刑が軽くされるのは納得できない。被告人らが職業を医師と答えるのを聞き、改めて怒りが湧いてきた」と涙を浮かべて話した。

 今後、10月17日および27日に同僚医師二人を含む3人の証人審理が行われる。また、別に進行している民事裁判については、10月15日に結審し、来年早々に判決が出る見込みだ。(小又理恵子、日経メディカル

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