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2003.08.05

【SARS速報】 SARSウイルス・プロテアーゼの高解像度3次元データがPDBで公開

 重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こすコロナウイルス(SARSウイルス)の、蛋白分解酵素(プロテアーゼ)の立体構造が、論文発表に先立ち蛋白立体構造の公的データベースであるProtein Data Bank(PDB)上に公開された。PDB上には既に、SARSウイルス・プロテアーゼの立体構造が3件公開されているが、これらは全てSARSウイルス以外のコロナウイルスのX線解析像などに基づく予測構造。SARSウイルスそのもののX線解析像に基づく立体構造の公開は初めてで、抗SARSウイルス薬の開発に弾みが付きそうだ。

 この構造解析を行ったのは、シンガポール国立Genome研究所と米国Structural GenomiX社(SGX社)の共同研究グループ。SARSウイルスを結晶化して得られたX線解析像に加え、SARSウイルスのゲノム配列を参照することで、1.86オングストロームという高解像度で3次構造を決定することに成功したという。

 SARSウイルスの主要プロテアーゼ(Mpro)はウイルスの複製を担っており、この働きを阻害することで、SARSの治療薬を開発できる可能性がある。SGX社では、PDBを通してSARSウイルス・プロテアーゼの立体構造を広く公開することで、SARS治療薬の開発を促進すると共に、共同研究の機会を広げたいとしている。

 今回公開された立体構造は、PDBのホームページにアクセスし、アーカイブ検索欄にIDコード「1Q2W」を入力することで表示できる。この件に関するSGX社のニュース・リリースは、こちらまで。(内山郁子)