2003.07.23

「防ダニ」シーツの臨床効果に改めて疑問符、大規模研究2報がNEJM誌に掲載

 アレルギー性疾患の症状軽減や発症予防に役立つとされる、いわゆる「防ダニ」機能を付与したシーツには、臨床的に意味のある効果は期待できないようだ。英国とオランダで行われた大規模なプラセボ対照試験の結果によるもので、ダニは確かに減るものの、臨床症状の改善度は普通のシーツを使った人と変わらなかったという。研究結果は、New England Journal of Medicine(NEJM)誌7月17日号に掲載された。

 防ダニシーツ(マットレスカバー)は、ダニやハウスダスト(ほこり)を透過しにくい、目のつんだシーツ。喘息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患の症状軽減などに効果があるとされ、欧米やわが国でも使用を推奨する医療機関がある。一方、臨床効果に関しては否定的な報告もみられ(関連トピックス1関連トピックス2参照)、評価が定まっていなかった。

 今回報告された臨床研究は、英国とオランダで行われたもの。英国の研究は成人の喘息患者1122人、オランダの研究は8〜50歳のアレルギー性鼻炎患者279人を対象としたもので、追跡期間も1年と長く、この種の試験では最大規模のものだ。

 英国の試験では、防ダニシーツと、外観がそっくりの普通のシーツ(プラセボ)を無作為に配布し、6カ月後の朝のピークフロー値を1次評価項目として両群を比較した。両群とも約65%にダニアレルギーがあり、半年後のシーツ上検査では防ダニシーツ群でダニの量が低減していることが確認されたが、半年後のピークフロー値は両群とも改善しており、群間の違いは認められなかった。

 また、2次評価項目である吸入ステロイド療法からの離脱(半年後〜1年後にかけて施行)率にも、両群で差は認められなかった。いずれの評価項目も、ダニアレルギーがある人のみで比較しても有意差はみられなかった。

 一方のオランダの試験は、シーツ、枕カバーと上掛けカバーに防ダニ性のものと通常のもの(プラセボ)を用意し、参加者に無作為に配布。アレルギー性鼻炎の症状変化を日誌に付けてもらい、ビジュアル・アナログ・スケール(VAS)やアレルゲンの吸入誘発試験で重症度を評価した。試験の参加時には、全員に部屋の清掃など衛生的な生活に関する基本的な生活指導を行った。

 すると、1年後のシーツ上検査では、防ダニ寝具群のみでダニの量が大幅に軽減。しかし、鼻炎症状に関しては、両群とも当初より改善傾向が認められたものの、群間の差はなかった。

 興味深いのは、両試験とも、防ダニ群、プラセボ群の両者で症状の改善傾向が認められたこと。このことは、臨床試験に参加したり、プラセボも含め特別なシーツを使うことで、衛生的な生活を心掛けるようになるなど症状コントロール面に良い波及効果があることを示唆している。今回の研究結果は、こうした“特別なシーツ”に症状改善効果があることを否定するものではないが、そのために高価な寝具を買うべきかについては熟考する必要がありそうだ。

 英国の研究論文のタイトルは、「Control of Exposure to Mite Allergen and Allergen-Impermeable Bed Covers for Adults with Asthma」。アブストラクトは、こちらまで。オランダの研究論文のタイトルは、「Evaluation of Impermeable Covers for Bedding in Patients with Allergic Rhinitis」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2002.8.7 幼児のアトピー性疾患、「防ダニ」シーツでは防げないことが判明
◆ 2002.9.13 「防ダニ」シーツで喘息は軽くならない、1年間のプラセボ対照試験で判明

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