2003.07.16

HHSがHIV治療ガイドラインを改訂、初めて“第一選択のレジメン”を明示

 米国厚生省(HHS)は7月14日、成人・青年のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症に対する抗レトロウイルス薬の使用ガイドラインを改訂した。同ガイドラインは1998年の発表以来、頻繁な改訂が行われており、今回は8回目の改訂。HIV感染症の治療では多剤併用療法(HAART療法)が基本となるが、今回の改訂版で、初めて「第一選択とすべき(preferred)レジメン」(薬剤の組み合わせ)と「代替(alternative)レジメン」が明示された。

 抗HIV薬は作用機序により、逆転写酵素阻害薬とプロテアーゼ阻害薬(PI)に大別でき、逆転写酵素阻害薬はさらにヌクレオシド系(NRTI)と非ヌクレオシド系(NNRTI)に分かれる。この3系統の薬を組み合わせた強力なHAART療法でHIVの体内増殖を抑え、免疫能を高く保ってエイズの発症を防ぐことがHIV治療の主眼だ。

 旧ガイドラインでは薬剤を系統別に提示、具体的なレジメン作成は医師の裁量に任せてきたが、抗HIV薬の選択の幅が増えるにつれ「最適のレジメン」を個々の医師が作成するのは難しくなっていた。また、抗HIV薬の中には組み合わせにより副作用が強く出たり、耐性ウイルスが出やすいものがあることも判明、特に初回治療では適切なレジメンを選択する重要性が増加していた。

 こうした情勢を受け、改訂ガイドラインでは、1.NNRTIベースのHAART療法(原則としてNNRTI1剤にNRTI2剤を組み合わせる)、2.PIベースのHAART療法(原則としてPI1〜2剤にNRTI2剤を組み合わせる)、3.NRTI3剤併用療法−−のそれぞれについて、「第一選択とすべきレジメン」と「代替レジメン」を明示。臨床現場でより適切な薬剤選択を行えるようにした。

 NNRTIベースの初回HAART療法で第一選択とされたのは、NNRTIのエファビレンツ(EFV、わが国での商品名:ストックリン)、NRTIのラミブジン(3TC、わが国での適応商品名:エピビル)と、NRTIのフマル酸テノフォビル・ジソプロキシル(本邦未開発、欧米での商品名:Viread)またはスタブジン(サニルブジン、d4T、わが国での商品名:ゼリット)の3剤併用療法。代替レジメンとしては、「EFV+3TC+ジダノシン(ddI、同:ヴァイデックス)」と「ネビラピン(NVP、同:ビラミューン)+3TC+ジドブジン(AZT、同:レトロビル)またはd4TまたはddI」が提示された。

 PIベースの初回HAART療法の第一選択レジメンは、PIのロピナビル・リトナビル配合薬(LPV、同:カトレラ)、NRTIの3TCと、NRTIのAZTまたはd4Tの3剤併用療法。代替レジメンには、1.アンプレナビル(APV、同:プローゼ)+低用量リトナビル(RTV、同:ノービア)+3TC+AZTまたはd4T、2.インジナビル(IDV、同:クリキシバン)+3TC+AZTまたはd4T、3.IDV+低用量RTV+3TC+AZTまたはd4T、4.ネルフィナビル(NFV、同:ビラセプト)+3TC+AZTまたはd4T、5.サキナビル(SQV、硬・軟カプセル、同:インビラーゼ、フォートベイス)+低用量リトナビル(RTV、同:ノービア)+3TC+AZTまたはd4T−−の5種類を挙げた。

 NRTIの3剤併用療法は、副作用などのためNNRTIベース、PIベースのHAART療法を行えない場合の代替療法という位置付け。初回治療の推奨レジメンとして、1.アバカビル(ABC、同:ザイアジェン)+3TC+AZT、2.ABC+3TC+d4T−−の2種類が挙げられている。

 このガイドラインのタイトルは、「Guidelines for the Use of Antiretroviral Agents in HIV-Infected Adults and Adolescents」。現在、こちら(PDF形式)で全文を閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。この件に関する米国国立衛生研究所(NIH)のプレス・リリースは、こちらまで。(内山郁子)

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