2003.07.08

【SARS速報】 国内のSARS報告は4月前半がピークで総数68例、患者は1例もなし

 国立感染症研究所は、日本でSARS疑い例または可能性例として厚生労働省に報告された全68症例についての総括報告を病原微生物検出情報(IASR)7月号に掲載した。

 国際保健機関(WHO)が3月12日に最初の国際警報(global alert)を発して以来、今日に至るまでの約4カ月間、日本では重症急性呼吸器症候群(SARS)患者は1例も出ていない。上記68件の報告例もすべてSARSの可能性が否定された。この68例のほかに、いったん報告された後、症例定義に合致していないなどの理由で届け出を取り下げたケースが14例あった。

 68例のうち、52例が疑い例、16例が可能性例である。年齢構成は、0〜4歳が6人、5〜9歳が5人、10代が4人、20代が13人、30代が17人、40代が12人、50代が3人、60歳以上が6人、不明2人。海外のSARS症例で報告が少なかった10歳未満が約16%と多い。感染研では、海外赴任者の家族や旅行に同行した子どもと考えられるとしている。10歳階級の年齢群では30代が25%と最も多く、20代の19%、40代の15%がそれに次いでおり、働き盛り層が多いことが目に付く。報告例の渡航先は香港、台湾、中国広東省、同北京などが多くを占めた。

 報告地域は北海道から沖縄まで全国に分散していたが、報告数は人口が多い東京都が最多だったが、人口当たりの発生率では都道府県間に有意差はなかった。報告例の発症日は3月末から4月初旬が最も多い。国際的には香港の高層住宅アモイガーデンで大量に患者が発生した直後に当たる。

 興味深いのは、発症から報告までに要した日数の変遷で、サーベイランス開始当初の3月には5.6日と長かったものが、4月には2.5日、5月には2.2日と短縮し、5月後半以降は、発症当日に受診して翌日には報告されており、警戒態勢の高度化がしだいに徹底していったと見られる。

 報告に検査所見が含まれている症例は少ないが、半数以上の報告があった検査項目のうち、白血球数は平均9700/ml、血小板数が平均21.7万/ml、CRPが平均3.8mg/dlであり、SARSの典型的所見である白血球数と血小板数の減少や炎症所見とは一致しない。

 感染症研究所感染症情報センター主任研究官の重松美加氏は、「68例のうち、SARSコロナウイルスの抗体検査を実施したのは20%程度。最終的な病名は、細菌性肺炎やマイコプラズマ性肺炎などとされた例が多かったようだ」としている。

 病原微生物検出情報(IASR)の全文はこちらまで。(中沢真也)

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