2003.07.08

【耳鼻咽喉科臨床学会速報】 シリコン板付きコラーゲンシート+褥創治療薬で鼓膜穿孔の効果的治療を実現 

 鼓膜に穴が開いて聴力が低下する穿孔性中耳炎に対し、シリコン板付きのコラーゲンシートを穿孔部に当てて周囲に褥創治療薬を滴下することで、短期間に鼓膜を再生(閉鎖)できる手法が開発された。手技が比較的容易で特殊な設備も不要のため、一般医療機関でも十分対応できるという。7月4日のポスターセッション「第9群 耳手術」で愛媛大学耳鼻咽喉科の白馬伸洋氏が発表、会場の注目を集めた。この発表は206題のポスター発表中2題に与えられる優秀ポスター賞を受賞した。

 白馬氏らは、穿孔性中耳炎で鼓膜に穿孔がある患者を治療群9人と対照群5人に分け、比較対照試験を試みた。穿孔部全周の瘢痕組織を取り除いたうえで、アテロコラーゲン(抗原性を除去したコラーゲン)とシリコン板の二重構造を持った皮膚カバー材を当て、治療群に対しては、褥創や皮膚潰瘍の治療に用いられるヒト線維芽細胞増殖因子(bFGF)製剤をコラーゲンに浸透するように滴下した。1日1回ずつ3日間の投与を1クールとし、1〜2週間間隔で複数回実施した。対照群には生理食塩水を同様の方法で投与した。

 その結果、対照群では5例中3例は閉鎖に至らず、聴力改善も平均4.1dB(0〜13.3dB)にとどまったのに対し、治療群9例では、平均3.7週間(1〜6週間)で全例鼓膜が閉鎖し、平均13.3dB(3.8〜26.7dB)の聴力改善が見られた。

 鼓膜再生には患者本人の筋膜を利用する方法もあるが、全身麻酔を要し、患者の負担が大きかった。白馬氏らの手法は外来で処置可能、コラーゲン板もシリコン板の支持があるため、高度な手技を必要としない。患者への負担は「治療初日に鼻をかむのをがまんしてもらう」程度でよいという。中耳炎による穿孔に悩む患者には朗報と言えそうだ。(中沢真也)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 裁判官は医師の過失をどのように判断するのか 裁判官が語る医療訴訟の実像
  2. おいおい、簡単に医師を辞めちゃいけないよ 裴 英洙の「今のままでいいんですか?」
  3. 中古機器、「美品」を買えて喜んだのも束の間… 開業の落とし穴
  4. AIは放射線科医に代わるのか? 答えはNo 学会トピック◎第78回日本医学放射線学会総会
  5. 過去5年の得点率から今年の対策を考える 総合内科専門医試験 「一発合格」への道
  6. 糖尿病患者の腎症進行の原因物質を同定、新たな治療… シリーズ◎腎臓を守る最新の治療戦略
  7. 5年ぶり改訂、高血圧治療ガイドラインが発表 降圧目標を下げ早期からの生活習慣改善を強調
  8. 吸ステ単剤:オルベスコが初めてランクイン NMO処方サーベイ
  9. お別れを言いに来たミチオさん ぐるぐる訪問看護
  10. 100床の外国人専用病院計画で露見した制度の穴 リポート◎“自由診療だけの病院”は病床規制を無視できる?
医師と医学研究者におすすめの英文校正