2003.07.03

【SARS速報】 トロントも「最近の地域内伝播」が疑われる地域から外れる

 世界保健機関(WHO)は7月2日、重症急性呼吸器症候群(SARS)の「最近の地域内伝播」が疑われる地域からカナダのトロントを外した。6月12日以降新たな患者の報告がなかったためで、これで「最近の地域内伝播」が疑われる地域は、台湾を残すのみとなった。

 カナダの累積患者数は7月2日現在で252人、そのうち死者は38人となっている。カナダのトロントはSARS感染が確認された当初から、「最近の地域内伝播」が疑われる地域に指定され、4月23日には渡航延期勧告も出されていた。

 その後、4月30日には渡航延期勧告が解除になり、5月14日には感染地域からもはずされた。

 しかし、5月26日、カナダは再流行という苦い経験をすることになる。5月2日の二人を最後に発生していなかったカナダから、同日8人の新規患者報告があり、制圧の失敗が明らかになった。そのうち死者は3人だった。このためWHOは同日、「最近の地域内伝播」が疑われる地域にカナダのトロントを再指定したのだった。

 この苦い経験は、他の国も共有すべきだろう。渡航延期勧告が出るとその地域の観光産業に大きな影響を与えるのは間違いない。長引けば航空産業をはじめ他の産業にも拡大しかねない。たとえば、初めて渡航延期勧告が出されたときの「トロント市長の怒りの会見」のように、当局側は産業への痛手を最小限にしたいがために制圧を急ぎがちとなる。そこに落とし穴が待ち受けていたのだ。

 感染指定地域から外れた今こそ、カナダには再流行の原因を検証し、その結果を公開する責任があると思う。

 WHOのリリースは、「Update 93」まで。(三和護)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 病院側が語った「透析中止」の真相 特集◎福生病院の「透析拒否で死亡」報道が投げかけたもの《2》
  2. 左足趾の潰瘍・疼痛で96歳女性が車いすで来院 短期集中連載◎なぜ今『救急×緩和ケア』なのか part IV
  3. 救急ロスタイムを防げ―現場離脱を阻むもの― 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」
  4. 裁判官は医師の過失をどのように判断するのか 裁判官が語る医療訴訟の実像
  5. おいおい、簡単に医師を辞めちゃいけないよ 裴 英洙の「今のままでいいんですか?」
  6. 強化療法論争の先にある糖尿病治療の未来 池田正行の「氾濫する思考停止のワナ」
  7. あなたは大丈夫!?新時代の医療人マナー講座! 研修医のための人生ライフ向上塾!
  8. 「年1860時間」の上限変更は十分あり得る シリーズ◎医師の「働き方改革」
  9. 【漫画】EDって何? ガンバレ薬剤師
  10. 若手医師が描くPC連合学会と病総診学会の明日 座談会◎日本の総合診療を確立するために学会に求められること
医師と医学研究者におすすめの英文校正