2003.07.02

【再掲】1型糖尿病患者の長期予後、日本とフィンランドで大差

 1型糖尿病と診断された人を15〜29年間追跡した日本とフィンランドのコホート研究から、患者の長期的な予後にはこの2国間で大きな差があることがわかった。予後は総じてフィンランドの患者の方が良い上、日本では特に1960年代の登録患者の予後が悪く、1970年代までの療養環境の違いが反映されたのではと研究グループはみている。研究結果は、Diabetes Care誌7月号に掲載された。

 この研究は、1型糖尿病患者の長期追跡研究「DERI」(the Diabetes Epidemiology Research International)の登録者コホートを、さらに5年延長して追跡したもの。「DERI」は日本、フィンランド、イスラエルと米国の4カ国共同で行われたが、今回の追加追跡研究はフィンランドと日本のコホートを対象にした。

 両コホートとも、1965〜1979年に1型糖尿病と診断された18歳未満の患者を登録しており、日本のコホートは1408人、フィンランドのコホートは5126人。主治医への聞きとりや住民票などから、1994年末時点での生死を調べ、1型糖尿病患者の長期予後などについて評価した。

 その結果、患者10万人当たりの年間死亡率は日本が607人(0.607%)、フィンランドが352人(0.352%)と、2倍近い差があることが判明。この傾向は、同年代の一般国民と比較した死亡率(標準化死亡比=SMR)ではさらに顕著で、日本では死亡率が一般国民の12.9倍となった。これはフィンランドの患者(SMRがフィンランド国民の3.7倍)の3倍以上だ。

 さらに、1965〜1969年の登録患者と1970〜1979年の登録患者とには、日本でのみ予後の差が認められた。日本のコホートでは、年間死亡率だけでなくSMRでみても、1960年代の登録患者で死亡率が高かった。一方のフィンランドでは、登録年代と予後に相関は認められなかった。

 フィンランドでは1960年代から国家ベースでの糖尿病療養システムが稼動しており、1965年にはインスリン製剤が無料化、1975年には診療ガイドラインが策定された。一方のわが国では、インスリン製剤には保険適用がなされていたものの、自己注射に診療報酬が認められたのは1980年代に入ってからで、1960年代に発症した1型糖尿病患者では治療が不十分になりがちな期間が長く続いたことになる。

 こうした点を鑑み、研究グループは「日本でのみ登録年代による予後の差が認められたのは、1970年代までの療養環境に、フィンランドと日本とで大差があったためでは」と考察している。

 この論文のタイトルは、「Long-Term Mortality in Nationwide Cohorts of Childhood-Onset Type 1 Diabetes in Japan and Finland」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

■ 訂正 ■
 1段落目末尾の「研究結果は、Diabetes Care誌4月号に掲載された」は「研究結果は、Diabetes Care誌7月号に掲載された」の間違いでした。訂正致します。

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