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2003.06.23

【解説】 引き上げ明記された消費税、医療機関に二重苦もたらす

 政府税制調査会は6月17日、「少子高齢社会における税制のあり方」と題した中期答申を小泉純一郎首相に提出した。この答申には、将来の消費税率二桁への引き上げが明記されている。

 これは、医療機関にとって他人事ではない。一般企業の場合、たとえ税率が引き上げられて仕入れた商品や経費の価格が上昇しても、販売する商品やサービスの価格を引き上げれば、その懐は痛まない。

 しかし、病院や診療所は話が違う。医療は非課税とされているため、人間ドックや差額ベッドを除き税率が引き上げられても価格に上乗せはできないのだ。診療報酬で手当てはされるだろうが、医療機関によってその影響は異なるため、費用に含まれる消費税がコスト増という形で経営を圧迫する。これがいわゆる“損税”だ。

 小泉首相は在任中の消費税率引き上げを明確に否定しており、税率引き上げによる影響はまだ先の話だ。しかし、実は2004年4月1日以降、多くの医療機関で消費税の負担は増える。

 昨年末の税制改革で、消費税が免税となる事業者の条件が、年間売上高3000万円以下から同1000万円以下に変わった。年間売上高2億円以下の事業者なら利用できた納税額を概算できる簡易課税制度も、同5000万円以下でないと利用できなくなった。

 医療機関の場合、自由診療など課税対象となる売上高を基に判定されるが、この改正で、新たに消費税を納める必要が生じる診療所は結構出てくるはずだ。簡易課税制度が使えなくなって、納税額増加と事務負担増加のダブルパンチに見舞われる中小病院も少なくないだろう。

 医療機関にとって消費税は、将来的な問題であると同時に、目の前に差し迫った問題でもあるという認識を持たなければならない。(井上俊明、日経ヘルスケア21編集委員)