2003.06.17

厚労省、水銀を含む魚介類の安全性について一般向けQ&A公開

 厚生労働省は6月16日、水銀が検出された魚介類を食べた場合の人体への影響についてまとめたQ&A集をホームページ上で公開した。17問構成で、水銀に関する限り、妊娠している女性以外は制限しなくても健康被害はないとし、魚介類の摂取を減らさないように訴えている。同省が6月3日に水銀を含む魚介類の摂食制限について公表した内容が新聞などで大きく取り上げられ、キンメダイなどを中心に魚介類の販売が激減するなど、パニックに近い反応があったため、沈静化を目指し、あらためて詳細な情報提供を行ったもの。

 6月3日の発表では、妊娠している人や妊娠している可能性のある人は、バンドウイルカについては、1回60〜80gとして2カ月に1回以下、ツチクジラ、コビレゴンドウ、マッコウクジラ及びサメ(筋肉)については、1回60〜80gとして週に1回以下、メカジキ、キンメダイについては、1回60〜80gとして週に2回以下にすることが望ましいとしている。

 これらの数値は、厚生労働省が1973年に設定したメチル水銀の暫定的耐用週間摂取量である、体重1kg当たり1週間に3.4μg、体重50kgの場合、1日当たり24μgという値に基づいている。実際の水銀摂取量は1日当たり体重50kgの場合8.4μgなので、耐用摂取量との差である15.6μgを超えない目安を定めている。暫定的耐用週間摂取量とは、人が一生涯にわたってその量を食べ続けても健康に有害な影響が現れないと判断される量とされている。

 例えば、最も水銀濃度が高いバンドウイルカの場合、日本人の平均的な1回摂食量の約90gを食べると、約600μgの水銀量となるため、1日当たりの摂食量を15μg以内に抑えるには、2カ月に1回以下にする必要がある。一般に、食物連鎖で上位にあるマグロなどの大型魚類やイルカ、クジラで水銀含有量が多い傾向がある。

 厚生労働省は、日本人の平均的な食事パターンであれば、水銀摂取量は安全な範囲にとどまること、魚介類は健康によいとされるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などの不飽和脂肪酸を豊富に含むため、摂食の利点は大きいことを強調している。

 一般国民にとってみれば、身近な食材が持つ危険性について改めて認識させられた形だ。測定データに基づく食材の安全性に関する情報を公開した厚生労働省の姿勢は前向きに評価されるべきだろう。しかし、「規制値に安全率をかけてあるから安心」というような情報提示の仕方は、現在ではもはや通用しにくい。どのくらいの量を摂取すればどのような症状が起こるのか、それに対して規制値はどの程度低い水準に設定されているか、母体の曝露に対して胎児に移行する水銀量はどの程度なのか、魚介類の筋肉、内臓、脂肪など個々の部位の蓄積量はどのような違いがあるか、他国ではどのような規制が行われているか、など、今後、さらに十分な調査・研究と情報提供が望まれる。

 厚労省のプレスリリースは、こちらまで。(中沢真也)

 

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