2003.06.02

【ASCO速報】 5-HT3受容体拮抗薬に「第2世代」が近く登場、パロノセトロンの第3相試験結果が報告

 5月31日に開催された統合(integrated)教育セッション「Pathogenesis-Based Treatment of Mucositis and Nausea and Vomiting」では、早ければ今年後半にも米国で上市される、新世代のセロトニン(5-HT3)受容体拮抗薬と従来の5-HT3受容体拮抗薬との第3相比較試験結果が報告された。報告を行ったスイスGenolierクリニックのM. S. Aapro氏は「5-HT3受容体拮抗薬は“どれも同じ”ではない」と述べ、1回静注で効果が長続きする新世代薬のメリットを強調した。

 この5-HT3受容体拮抗薬は、スイスで開発されたパロノセトロン。従来の5-HT3受容体拮抗薬より受容体への結合力が100倍以上強く、血中半減期も40時間と従来薬の数倍に達する。第3相試験では、シクロホスファミド(わが国での商品名:エンドキサン)やドキソルビシン(わが国での商品名:アドリアシン)など、吐き気・嘔吐の誘発リスクが中等度(moderate。従来のnon-CDDP high riskに相当)の化学療法を受ける癌患者563人を対象に、オンダンセトロン(わが国での商品名:ゾフラン)を対照薬とした比較試験を行った。

 対象患者は、性別と化学療法経験の有無で層別化した後、無作為に1.パロノセトロン0.25mg群、2.パロノセトロン0.75mg群、3.オンダンセトロン32mg群−−の3群に割り付けた。化学療法の開始前に静脈内投与し、急性(1日以内)の吐き気・嘔吐の予防効果を1次評価項目、遅延性(2〜5日)の予防効果を2次評価項目として、3群間の予防成功率(吐き気・嘔吐を全く起こさず、レスキュー薬も要しない)を比較した。なお、この試験ではデキサメタゾンなどのステロイド薬は併用していない。

 その結果、急性の吐き気・嘔吐の予防成功率は、パロノセトロン0.25mg群(189人)が81%と、オンダンセトロン32mg群(185人)の69%を有意に上回ることが判明。遅延性の吐き気・嘔吐に関しても、パロノセトロン0.25mg群では治療成功率が74%に達し、オンダンセトロン32mg群の55%より有意に高かった。

 興味深いのは、パロノセトロンの高用量群(0.75mg群、189人)の治療成功率が、低用量の0.25mg群より低い傾向があること。急性の吐き気・嘔吐の治療成功率は74%、遅延性では65%で、オンダンセトロンよりは高い傾向がみられたが有意差はなかった。フロアからも「用量依存性がみられないのはなぜか」との質問が出され、Aapro氏は「パロノセトロンに限ったことではなく、オンダンセトロンでも同様の現象が起こる。受容体への拮抗薬ではしばしば観察される現象だ」と答えたが、実際に臨床応用する際には投与量を注意深くコントロールする必要が出てくるだろう。

 発表後の論客(discussant)として登壇した米国Sloan-Kettering記念癌センターのMark G. Kris氏は、吐き気・嘔吐の中等リスク化学療法に対する他の二重盲検試験結果と、今回得られたパロノセトロンのデータとを比較。予防効果はオンダンセトロンとデキサメタゾンの併用が最も高く、次いでパロノセトロン単剤、オンダンセトロン単剤の順になることを示して、「個人的には、中等リスク化学療法の吐き気・嘔吐予防策として、パロノセトロンにデキサメタゾンを併用することを薦めたい」と話した。(内山郁子)

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