2003.05.14

【日本内分泌学会速報】 母乳栄養児、冬期のビタミンD欠乏症に要注意

 日照時間が短い冬期には、夏期よりも母体血・臍帯血や小児の血液中のビタミンD値が大幅に低下することが、名寄市立病院(北海道)小児科の矢野公一氏らの調べでわかった。皮膚でのビタミンD産生が夏期より低下するためとみられ、「母乳栄養児では特に、冬期は容易にビタミンD欠乏症になる恐れがあるため、日光浴やビタミンD補充などを検討すべき」と矢野氏らは提言している。研究結果は、5月11日の一般口演「骨・甲状腺5」で発表された。

 研究のきっかけとなったのは、無熱性けいれんで受診し、検査でビタミンD欠乏症であることがわかった乳児を5人、矢野氏らが診療したこと。うち4人には骨の変形(骨幹端中央部の杯状陥凹)がみられ、くる病を起こしていた。月齢は5〜9カ月と幅があったが、いずれも母乳で育てられており、さらに、発症時期が2〜5月とほぼ冬期に集中していた。

 矢野氏らは、人工乳と比べると母乳にはビタミンD含有量が少ないことに加え、冬期の日照時間が少ないことが、ビタミンD欠乏症の原因となったのではと考察。1.妊婦(36週)の母体血、2.臍帯血、3.血中カルシウム値が正常な小児(1〜17.5歳)の血液−−のそれぞれについて、冬期と夏期でビタミンD含有量がどの程度変わるかを調べた。

 その結果、母体血(冬期:16人、夏期:26人)、臍帯血(冬期:34人、夏期:27人)のいずれも、夏期より冬期の方が、内因性ビタミンD量を反映する血中25-OHビタミンD(25-OHD)量が有意に少ないことが判明。くる病のリスクがあるとみなせる5ng/ml以下のケースも、母体血では夏期が0%に対し冬期が6%、臍帯血では22%に対し47%で、いずれも冬期に有意に多いことがわかった。小児(冬期:29人、夏期:43人)も同様に、夏期より冬期で有意に平均25-OHD量が少なかった。

 矢野氏は「(北海道など高緯度の)冬期に日照時間が少ない地域では、母親と子供のどちらも、血中のビタミンD濃度が低くなる」と総括。通常は、皮膚でのビタミンDの合成に不可欠な「適度な日光浴」を勧めるところだが、寒冷地域では冬期に乳児の日光浴は困難なケースも多く、その場合は食物からのビタミンD摂取や、ビタミンD強化ミルクなどの使用が大切になると話した。(内山郁子)

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