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2003.04.18

【日本産科婦人科学会速報】 妊娠に伴う味覚変化、妊婦の健康管理の指標に

 妊娠後期では味覚が変わり、塩味を感じにくくなるが、むくみなど妊娠中毒症の症状がある妊婦ではこうした味覚変化がほとんどないことがわかった。塩分制限で塩味を感じやすくなった人では、妊娠中毒症の症状も改善することもわかり、「塩味覚の変化は妊婦の健康管理の指標になるのでは」と研究グループは考察している。研究結果は、4月14日のポスターセッションで発表された。

 この研究を行ったのは、自衛隊中央病院産婦人科の水本賀文氏ら。水本氏らは、妊娠している女性などに様々な濃度の塩水を染み込ませたろ紙をなめてもらい、塩味に対する感受性(塩味覚閾値)が、妊娠に伴ってどのように変化するかを調べた。対象者は正常妊娠妊婦が40人、妊娠中毒症妊婦が30人。対象者と年齢や体格がほぼ同じの、妊娠していない女性64人についても、ホルモン変動が塩味覚に与える影響を調べた。

 その結果、妊娠中に特にむくみや蛋白尿などの症状が出なかった妊婦では、妊娠後期に塩味覚閾値が上昇するが、出産1カ月後には妊娠前の水準にまで戻ることが判明。ところが、軽い妊娠中毒症にかかった妊婦では、妊娠初期から塩味覚閾値が正常妊婦や妊娠していない女性よりも高く、妊娠中はずっと塩味覚閾値が高いまま推移することが明らかになった。

 さらに、妊娠していない女性では、生理周期に伴う味覚変化は特にみられないことが確認された。また、妊娠中毒症の女性には塩分制限が行われたが、塩分制限で塩味覚閾値が下がった、つまり塩味を感じやすくなった人では、むくみなどの症状も改善していた。

 以上から水本氏らは「正常妊婦の妊娠後期にみられる塩味覚閾値の上昇は、ホルモン変動によるものではなく、妊娠により循環血漿量が増え、塩分必要量が増えたことに対する生理的な変化」と考察。妊娠中毒症妊婦で塩閾値の上昇がみられないのは、「塩分の過剰な貯留のために、こうした生理的変化から逸脱しているのではないか」と水本氏らはみており、「塩味覚の変化は、栄養指導など妊婦の健康管理の指標になる可能性がある」と話している。(内山郁子)