2003.03.30

【日本循環器学会速報】 ASO患者の生命予後、アスピリン服用者で良好

 慢性閉塞性動脈硬化症(ASO)患者のうち、アスピリンを服用している人では、年齢や性別、合併症などで補正した後も、非服用者より有意に5年生存率が高いことがわかった。死因別では心血管死よりも非心血管死への抑制効果が高く、「アスピリンの抗炎症作用がプラスに働いているのでは」と研究グループはみている。研究結果は、3月30日の一般口演「Peripheral Circulation 4」で報告された。

 この研究を行ったのは、北関東循環器病院内科の熊倉久夫氏ら。熊倉氏らは、同病院を1989年から12年間に受診したASO患者のうち、病歴や合併症、服薬歴などの詳細が得られた362人(うち男性311人)について分析。既に、1.5年死亡率は70歳一般男性の2.2倍に上る、2.死因は心疾患が32%、癌が19%、肺炎が16%、脳卒中が15%で、70歳一般男性より心疾患が多く、癌が少ない−−などのデータを発表している。今回は、服用している薬剤で、生命予後に違いが出るかについて検討した。

 服用薬剤は多岐に渡ったが、なかでも抗血小板薬・抗凝固薬は、1剤のみを服用している人(32%)より2剤併用(40%)が多く、3剤以上併用している人も21%に達した。内訳(複数回答)は、シロスタゾールが43.2%と最も多く、次いでベラプロスト(33%)、アスピリン(32%)、チクロピジン(21%)、ワルファリンカリウム(15%)の順となった。このほか、カルシウム拮抗薬は50%、亜硝酸薬は24%、レニン−アンジオテンシン系抑制薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬+アンジオテンシン2受容体拮抗薬)は11%、スタチン系薬は12%が服用していた。

 熊倉氏らはこれらの薬剤について、生命予後との関連を検証。服用者と非服用者に分けて生命予後曲線を描き、5年後の生存率を比較した。

 すると、抗血小板薬・抗凝固薬の中では唯一、アスピリン服用者で生命予後が有意に良いことが判明(p=0.021)。有意差には至らなかったものの、ワルファリンカリウムやスタチン系薬の服用者でも生命予後が良い傾向が認められた。しかし、多変量回帰分析で年齢、性別や腎機能、肝疾患、脳血管疾患既往など生命予後に影響を与える因子で補正すると、アスピリンのみが有意な因子として残った(p=0.026)。

 次に熊倉氏らは、死因を心血管死と非心血管死に分けて、アスピリン服用者と非服用者の生存率曲線を比較した。その結果、心血管死に差は認められなかったが、非心血管死についてはアスピリン服用者で有意に低いことが判明(p=0.017)。非血管死のなかでは、癌や肺炎による死亡への抑制効果が認められた。

 熊倉氏は「アスピリンは、シクロオキシゲナーゼ(COX)のうちCOX-1抑制による抗血小板作用だけでなく、COX-2抑制による抗炎症作用とを併せ持っており、この点で他の抗血小板・抗凝固薬服用者と差が付いたのではないか」と考察。心血管死だけでなく非心血管死の抑制作用も持つと示唆されるアスピリンを、もっと積極的に処方しても良いのではとまとめた。

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