2003.03.22
【SARS速報】 SARS感染者総数350人、うち死者10人に
世界保健機関(WHO)は3月21日、重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染患者の総数が350人、うち死者が10人になったことを報告した。新たに、スイスで7人、イタリアとアイルランドでそれぞれ一人の患者が見つかっている。WHOはまた、17日に結成したSARS共同研究チームが、病原体と考えられるウイルスの培養に成功し、SARSの診断テスト開発に向け、重要な第一歩を踏み出したとしている。
これまでに確認された各国のSARS患者数と死亡者数は以下の通り。
香港:死亡を含む患者数203(死亡者6、以下同)
ベトナム:62(2)
シンガポール:39(0)
米国:13(0)
カナダ:9(2)
スイス:7(0)
台湾:6(0)
タイ:4(0)
英国:2(0)
ドイツ:1(0)
スロべニア:1(0)
スペイン:1(0)
イタリア:1(0)
アイルランド:1(0)
一方SARS共同研究チームは、病原体と思われるウイルスを培養後、回復しつつあるSARS患者の血清と、同数の健康な人の血清を、培養細胞に添加した。すると、SARS患者の血清ではウイルスの成長が止まったのに対し、健康な人の血清ではウイルスに変化はなかった。WHOのウイルス学専門家であるKlaus Stohr氏は、「これは、トンネルの先に光が見えた程度のことではない。真の太陽光線だ」と、この発見を評価している。
なお、このウイルスはパラミクソウイルスに形態が似ているものの、特定はできていない。
WHOはまた、5人の感染症専門家を中国に派遣し、昨年11月に広東州で発症した異型肺炎の流行について、病原体の特定や、SARSにあてはまる症状の患者がいたかどうかなどについて、研究支援を行うとしている。
詳しくは、WHOのDisease Outbreak Reportedへ。(當麻 あづさ、医療ジャーナリスト)