2003.03.18

ホモシステインが慢性心不全発症のリスク、高値で心不全発症が2倍に

 虚血性心疾患の危険因子、さらには原因因子として近年注目されているホモシステイン(関連トピックス参照)が、慢性心不全発症の危険因子である可能性が示唆された。虚血性疾患の既往がない人を対象とした8年間の追跡研究を通し、Framingham Heart StudyグループのRamachandran S. Vasan氏らが明らかにしたもので、Journal of American Medical Association(JAMA)誌3月12日号に掲載された。

 この研究では、米国の代表的な地域コホート研究であるFramingham Heart Studyに、1979〜1982年と1986〜1990年に参加した3752人中、観察開始時に心不全も心筋梗塞既往も認められなかった2491人(平均72歳、うち女性62%)をさらに8年間追跡。心不全発症と追跡開始時の血清ホモシステイン濃度との関連を検討した。

 8年間の追跡期間中、156人が心不全を発症したが、試験開始時の血中ホモシステイン濃度4分位数で分けると、第二4分位数以上の上位2群を併せた心不全発症率は、男女とも、下位2群を併せた群のほぼ2倍高かった。ただし、男性の12%、女性の6%が追跡期間中に心筋梗塞を発症しており、男性心不全発症68人中22人、女性の88人中28人は心不全発症前に心筋梗塞を起こしていた。

 そこで研究グループは、試験開始時の交絡因子と追跡中心筋梗塞発症を補正するよう多変量解析を実施。その結果、血中ホモシステイン濃度が高くなるほど(4分位数でわけた4群でより濃度の高い群になるほど)、女性では49%(p<0.001)、男性では25%(p=0.05)、心不全発症の相対リスクが増加していることがわかった。中央値の上下で比較すると、男女とも血中ホモシステイン濃度が中央値以上の群では、心不全発症のリスクがほぼ2倍になっていた。

 以上からVasan氏らは、「機序の解明が必要だ」としたうえで、高ホモシステイン血症に対する介入が心不全予防となる可能性を示唆している。これまで主として神経・体液性因子の影響が重視されてきた慢性心不全だが、全く異なるアプローチの予防策が可能であることが示される形となった。

 慢性心不全に関しては、本報告のほか、「貧血」が慢性心不全予後増悪因子であるとの報告も、American Journal of Medicine誌2月1日号に掲載されている。貧血を予後増悪因子だとする知見は、昨年の米国心臓協会(AHA)学術集会においても「ELITE 2」のサブ解析を含む3題が口演で報告されており、貧血と心不全の関係にも興味が持たれる。

 この論文のタイトルは、「Plasma Homocysteine and Risk for Congestive Heart Failure in Adults Without Prior Myocardial Infarction」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。(宇津貴史、医学レポーター)

■関連トピックス■
◆ 2002.11.29 ホモシステインは心血管疾患の「原因」、遺伝子多型と疫学からの両面アプローチが強く示唆

■参考トピックス■
◆ 2003.1.28 医師も戸惑う健康情報:日本でもホモシステインの研究を
◆ 2002.10.16 日本高血圧学会速報】血清ホモシステイン値にクレアチニン値が強く相関、住民健診データの解析で判明
◆ 2002.2.18 血清ホモシステイン値とアルツハイマー病の発症、前向き観察研究で強い相関が示唆

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