2003.03.16

【日本呼吸器学会速報】 分子標的薬の臨床試験、臨床開発段階での“橋渡し研究”が課題

 分子生物学の進展に伴い、癌の臨床現場にも次々と分子標的薬が登場している。しかし、こうした薬剤の臨床試験には、従来の抗癌薬臨床試験とは異なる体系が必要になる−−。3月15日のミニシンポジウム6「先端医療の実用化に向けてのシステム構築」では、近畿大学腫瘍内科の田村研治氏が、分子標的薬の臨床開発が内在する様々な課題を指摘。従来の、「基礎研究は前臨床段階までで、臨床開発段階以降は臨床研究」(bench to bedside)という枠組みでは、分子標的薬の臨床開発は進められないと強調した。

 わが国では現在までに、トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)、メシル酸イマチニブ(同:グリベック)、ゲフィチニブ(同:イレッサ)、リツキシマブ(同:リツキサン)の、4種類の分子標的薬が癌の臨床現場に導入されている。分子標的薬は、「癌組織で特異的に変化している分子を修飾する薬剤」(田村氏)であり、従来の抗癌薬とは異なる戦略の下で開発されてきた。例えば、従来の抗癌薬の場合、1次スクリーニングでは「抗腫瘍効果」が評価基準となるが、分子標的薬では「標的分子の阻害効果」が主要な評価基準となる。

 スクリーニングで医薬候補物質(リード・コンパウンド)を絞り込んだ後は、前臨床試験などを経て第1相臨床試験を行うこととなるが、「第1相試験で確認できることにも、従来の抗癌薬と分子標的薬では大きな違いがある」と田村氏は指摘する。具体的には、従来の抗癌薬では、第1相試験で推奨投与量を決定できる。これは、抗腫瘍効果が最大限発揮される投与量より、毒性が激しくなる投与量の方が低いためだ。ところが、分子標的薬は一般に急性毒性が低いため、第1相試験では「安全域の設定」以上のことが決められない。

 そこで、分子標的薬の場合は第2相試験で、従来の効果判定に加え、本来は第1相試験で検討されるべき「安全性」や「推奨投与量の決定」を行い、さらには「標的阻害効果の検討」も進める必要が出てくる。

 特に、標的阻害効果の検討は、分子標的薬という概念の根幹をなすもの。「本当に標的の阻害が抗腫瘍効果に結び付いているのかを確認しなければ、臨床試験の推進が極めて主観的なものとなってしまう」と田村氏は強調する。このために必要なのが、臨床試験段階に入った後にも基礎研究を進めること。分子標的薬の臨床開発では、生体内においても標的分子に特異的な阻害が、癌細胞特異的に作用しているかを確認する「POP(Proof of Principal)研究」や、抗腫瘍効果や毒性に関する薬理遺伝学的な検討など、臨床への橋渡しとなる基礎研究(トランスレーショナル・リサーチ)を臨床開発段階でも継続する枠組みが必要だと田村氏は論じた。

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◆市中肺炎診療の実態調査2003

 MedWaveは今年も「市中肺炎診療の実態調査」を実施致します。本調査は、医療現場の第一線で活躍されている先生方に、外来で遭遇する肺炎(市中肺炎)の診療方針や考え方、抗菌薬の処方経験、市中肺炎診療に関する情報ニーズなどをお伺いし、市中肺炎診療の実態を明らかにすることを目的としております。調査結果は後日、MedWave等で紹介する予定です。ご多忙のところ恐縮ですが、何卒ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
◇アンケート画面は以下です。
http://webres.nikkeibp.co.jp/user/MW203122.html
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