2003.03.14

【日本呼吸器学会速報】 力士の半数に睡眠時の呼吸障害、取組成績にも影響

 相撲力士23人を対象とした調査で、力士のほぼ半数に、睡眠中の呼吸障害がみられることが明らかになった。睡眠中に呼吸障害がある力士では、呼吸障害がない力士より、有意に取組成績が悪かったという。同愛記念病院アレルギー・呼吸器科の鈴木直仁氏らによる調査で、3月13日の一般口演で発表された。

 無呼吸など睡眠中の呼吸障害は、太っている人に多いことが知られている。同愛記念病院は両国国技館のすぐそばにあり、鈴木氏らは、同院で診察機会が多い力士にも、体格からみて睡眠中の呼吸障害が多いのではと推測。ある相撲部屋に協力してもらい、2002年の秋場所終了後に、所属力士に夜間睡眠中の酸素飽和度(SaO2)を測ってもらった。

 相撲部屋の所属力士は24人で、年齢は16〜35歳、全員が邦人で20人が幕下以下。平均身長は180.0cm、平均体重は132.1kgで、体格指数(BMI)の平均値は40.7だった。うち一人は既に持続陽圧呼吸器(CPAP)治療を受けていたため、残りの23人を検査対象とした。

 その結果、睡眠中に呼吸障害がある(SaO2が90%未満の時間が5分以上または全睡眠時間の1%以上)力士が、23人中11人に達することが判明。うち6人には重度の呼吸障害があり、5人はSaO2が90%未満の時間が20分以上または全睡眠時間の5%以上で、一人はSaO2が90%未満の時間が20分未満だったものの、酸素飽和度の4%低下(ODI4%)が睡眠1時間当たり12.7回みられた。

 次に鈴木氏らは、こうした睡眠呼吸障害(SDB)がある力士とSDBがない力士とで、体重やBMIを比較した。すると、SDBがある力士の平均BMIは43.7となり、SDBが無い力士(37.6)より有意に高いことが判明。「BMIが40、または体重が130kg」(鈴木氏)を超えると、SDBを合併する人が増えることがわかった。

 さらに、検査前2場所の取組成績とSDBの有無との関連を調べると、SDBがある力士の勝率は平均4割1分で、SDBの無い力士(5割1分)を有意に下回ることが明らかになった。一般に、体重の重い大型力士ほど取組では有利だと言われており、実際にSDBの無い力士では体重が重いほど取組成績が良かった。ところが、SDBがある力士では、体重が増えても取組成績は横這いのままだった。

 なお、SDBがある力士のうち4人はCPAP治療を開始したが、開始後2場所の取組成績は、二人が上昇、一人が横這い、一人が低下と「症例数が少ないこともあり、現時点でははっきりした傾向はみられない」(鈴木氏)。鈴木氏らは今後、取組成績の上昇や負傷の減少など、SDB治療の具体的な効果の検証を続ける予定で、「日本相撲協会にも、SDBの実態調査や治療への取り組みを望みたい」と話している。

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