2003.03.12

高齢者への投薬で発生する副作用は約3割が防止可能、米国の調査で判明

 急性期医療における高齢者への投薬では、約5%に何らかの副作用が発生しているが、そのうち約3割は防止可能で、しかもより重篤な副作用ほど防げる可能性が高かい−−。こうした服薬の機会が多い高齢者の医療において注目すべき研究報告が明らかになった。この内容は、米Journal of American Medical Association(JAMA)誌2003年3月5日号に掲載された。

 米国マサチューセッツ州ウォーセスターのJerry H. Gurwitz氏らは、米国東部のニューイングランド地域のメディケア(高齢者医療保険)被保険者3万397人に対して、1年間の前向き調査を実施し、急性期診療における薬剤副作用とその症状を調べ、さまざまな記録から投薬ミスの有無を判定した。

 最終的に得られた2万7617人に調査結果における副作用の発生件数は1523件で、1000人・年当たりの発生比率は50.1だった。そのなかで、防ぐことが可能(preventable)と判定されたのは、実に421件(27.6%)にのぼった。しかも重篤な副作用が生じた場合ほど、防ぐことが可能と判定される比率が高かった。致命的(fatal)、生命に脅威あり(life-threatening)、および深刻(serious)と判定されたケースでは42.2%が防ぐことが可能とされたのに対し、最も軽度の重大(significant)と判定されたケースでは、防ぐことが可能と判定されたのは18.7%に過ぎなかった。

 米国の全国調査によると65歳以上の高齢者は、90%以上が週に少なくとも1回以上、投薬を受けており、40%以上が週に5種類以上、12%が週に10種類以上の投薬を受けている。それだけに副作用が発生する機会も多いようだ。

 今回の調査において、処方数は多い順に心血管系、抗生剤/抗感染症、利尿剤、オピオイドとなっている。副作用イベント発生は、心血管系、抗生剤/抗感染症、利尿剤、非オピオイド系鎮痛剤の順。副作用自体は、多い順に消化器症状、電解質/腎機能関連、出血、代謝/内分泌系だった。

 防ぐことが可能な副作用発生の原因は、処方自体(58.4%)と経過観察ミス(60.8%)が最も多く、患者の服薬指示逸脱によるケース(21.1%)が続く。筆者らは、過誤防止の手段として、オーダーエントリーシステムの導入や電子的な投薬監視システムの採用を挙げている。また慌ただしい急性期医療における患者への情報伝達への不備を補う手段として、インターネットの利用を提案している。

 この論文のタイトルは、「Incidence and Preventability of Adverse Drug Events Among Older Persons in the Ambulatory Setting」。現在、要約をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

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