2003.03.05

ミネラル配合のマルチビタミン剤、風邪の予防効果が初めて実証

 米国North Carolina大学のThomas A. Barringer氏らが行った1年間のプラセボ対照無作為化試験で、ミネラル配合のマルチビタミン剤を飲んだ人では、プラセボを飲んだ人と比べ、風邪などの感染症にかかる確率がほぼ半減することがわかった。こうしたマルチビタミン剤に、感染症予防効果があることが示されたのは初めて。感染症の予防効果は、特に2型糖尿病患者で顕著だったという。研究結果は、Annals of Internal Medicine誌3月4日号に掲載された。

 この研究に参加したのは、45歳以上で免疫抑制剤と抗凝固薬を服用していない158人。うち51人は2型糖尿病に罹患している。Barringer氏らは、年齢、性別、糖尿病の有無で層別化した後に無作為割り付けし、ビタミン剤群(78人)には、ビタミンA〜E、Kとβカロテン、さらにカルシウム、マグネシウムなど各種ミネラルを配合した「ミネラル配合マルチビタミン剤」を飲んでもらった。一方のプラセボ群(80人)は、カルシウム、マグネシウムとビタミンB2のみを含む“プラセボ薬”を服用した。最終的な解析対象者は130人。

 1年間の二重盲検による追跡後、「何らかの感染症発症」を第一評価項目として比較すると、ビタミン剤群は43%、プラセボ群は73%となり、ビタミン剤服用者で有意に感染症の発症が減少していた(p<0.001)。観察期間中にみられた感染症には上気道感染(42%)が最も多く、次いでインフルエンザ様症状(19%)、消化管感染(12%)などだった。

 注目すべきなのは、特に2型糖尿病患者で、ビタミン剤群における感染症減少が特に大きかったこと。1年間の観察期間で、プラセボ群のほとんど(93%)が何らかの感染症を発症したのに対し、ビタミン剤群では17%に過ぎなかった(相対リスク:0.18、95%信頼区間:0.07〜0.44)。Barringer氏らは、試験開始時に糖尿病患者で多くみられた微量栄養素の欠乏を、ミネラル配合マルチビタミン剤が改善した結果ではないかと推測している。

 ただし、この試験では、ビタミン剤群に身体活動性の高い人が有意に多く割り付けられており、結果を解釈する際にその偏りが補正されていない。この「運動」という要素がどの程度「風邪の引きにくさ」に関与するかは未知数だが、適度な運動と市販のミネラル配合マルチビタミン剤で風邪が予防できるのなら、十分試してみる価値はありそうだ。

 この論文のタイトルは、「Effect of a Multivitamin and Mineral Supplement on Infection and Quality of Life: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Trial」。現在、こちらで全文を閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。(宇津貴史、医学レポーター)

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