2003.01.20

【再掲】日本でもホモシステインの研究を

 高ホモシステイン血症は動脈硬化性疾患の危険因子のひとつである。その相対危険度は、高コレステロール血症、喫煙と同程度とされる。そのわりには、日本における高ホモシステイン血症への注目度は低い。

 基礎的研究にてホモシステインは、内皮細胞障害、血管平滑筋増殖、血小板凝集亢進、凝固機能異常などを引き起こすことがわかってきている。臨床的にも高ホモシステイン血症は動脈硬化の結果ではなく、原因であるとされた(1)。

 ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸はホモシステインがメチオニンに代謝される際に必要なビタミンである。これらの摂取により血液中ホモシステイン濃度が低下する。つまり、これらのビタミンを摂取することで動脈硬化性疾患を予防することができるかもしれない。

 ホモシステインに関連した最近の話題から幾つか拾ってみた。
1)食事からの葉酸摂取量の多い人(300μg/日以上)は摂取量の少ない人(136μg/日以下)に比べて脳卒中発症率が20%、心血管疾患発症率が13%少ない(2)。
2)ホモシステインが高い(>15mol/l)と突然死をきたしやすい(オッズ比3.8)(3)。
3)ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸投与により、経皮的冠動脈インターベンション後の再狭窄率、再治療率が低くなる(相対危険度0.62)(4,5)。
4)血液中ホモシステイン濃度が高いほど血圧が高い(6)。

 上記の結果は、血液中ホモシステイン濃度を低下させることに臨床的な意味があることを示唆するが、まだビタミンB6、ビタミンB12、葉酸服用が動脈硬化性疾患の予防に本当に有効かどうかについては結論が出ていない。海外では高ホモシステイン血症への介入試験が進行中であるというから、近いうちに結論が出ることだろう。

 私たちはどうしても製薬会社の開発する新薬に目がいってしまう。製薬会社は大規模な臨床研究に資金を提供し、その結果をいろいろなメディアを通じて大々的に宣伝する。それに対し、ビタミン類を使った介入試験はあまり目立たない。製薬会社の提供する情報ばかりに頼っていると、ビタミンなど身近な医薬品やサプリメントに関する情報も不足するし、それらの効果に対し懐疑的にもなりやすい。しかし、ビタミン服用が動脈硬化性疾患の予防に効果があるということとなれば、これほど安全で安価な治療法はないだろう。

 ここで紹介した論文はすべて海外のものである。血液中ホモシステイン濃度は食生活にも左右されることから、海外での研究結果をそのまま日本人に当てはめることはできない。製薬会社に頼らない、研究者主導の臨床研究の出番ではなかろうか。

■参考文献■
(1) BMJ 325:1202-1208, 2002
(2) Stroke 33:1183-9, 2002
(3) Arterioscler Thromb Vasc Biol 22:1936-1941, 2002
(4) N Engl J Med 345:1593-1600, 2001
(5) JAMA 288:973-979, 2002
(6) Am J Epidemiol 156:1105-1113, 2002

■訂正■
 「ホモシスチン」と表記しましたが正しくは「ホモシステイン」でした。訂正します。

■参考ホームページ■
「健康情報の読み方」ホームページ

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