2002.12.19

中高年男性はご用心、歯と脳梗塞の意外な関係

 中高年男性4万人を12年間追いかけた研究で、研究がスタートした時点で歯が25本未満だった人では、年齢などで補正しても、25本以上歯があった人より1.5倍脳梗塞になりやすいことがわかった。歯周病がある人には脳梗塞や心筋梗塞が多いが、今回のデータ分析では、歯の本数の方が脳梗塞との関連が深く、歯周病とは別の理由がありそうだという。研究結果は、米国心臓協会(AHA)の学術誌であるStroke誌の2003年1月号に掲載される。

 今回得られたデータは、歯科医や薬剤師、獣医師など、医師以外の男性医療従事者が参加する前向きコホート研究「HPS」(Health Professional Study)の追跡研究を解析したもの。40〜75歳の男性医療従事者4万1380人を12年間追跡して、脳梗塞の起こしやすさと歯の本数などとの関係を調べた。

 研究が始まった時点で既に歯がかなり抜けていた人は、歯が揃っていた人よりも概して高齢。さらに、お酒の量が多く、運動不足気味で、喫煙者も多かった。こうした条件はすべて、脳梗塞を起こしやすくすると考えられている。

 そこで研究グループは、これらの条件でデータを補正し、仮に同等の条件だったときに歯の本数で脳梗塞の起こしやすさが変わってくるかどうかを計算した。すると、歯が25本より少ない人では、歯が25本以上残っている人よりも、12年間で脳梗塞を1.57倍(95%信頼区間:1.24〜1.98倍)起こしやすいと算出された。

 ところで、歯周病、つまり口の中に慢性の炎症がある状態が長く続くと、炎症物質が血管の動脈硬化を促進し、脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなると考えられている。もちろん、歯周病があると歯が抜けやすくもなる。しかし、今回の研究では、歯周病がある人と無い人に分けて解析しても、「歯の本数が脳梗塞の起こしやすさに与える影響度」に違いはみられなかった。

 面白いのは、12年の追跡期間中に歯が新たに抜けたかどうかと、脳梗塞の起こしやすさには関係がなかったこと。このデータは、歯周病以外の、歯が抜けるような“何か”が脳梗塞を起こしやすくするとしても、それには12年以上の長い歳月がかかることを示している。また、歯の本数が少ない人で特徴的なのは、野菜や果物を食べる量が少ないことで、「それが影響している可能性もある」と研究グループはみる。

 どうして歯の本数が脳梗塞の起こしやすさと関係しているかには、このように色々な可能性があるが、脳梗塞になりたくなければ、今のところ歯を大切にするに越したことはないようだ。

 この論文のタイトルは、「Periodontal Disease, Tooth Loss, and Incidence of Ischemic Stroke」。Stroke誌のホームページ上で、雑誌掲載に先駆けて早期公開されている。アブストラクトは、こちらまで。

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