2002.12.09

ビタミンCに高血圧予防効果なし、5年間の前向き介入結果

 日本で行われた無作為化介入試験で、5年間ビタミンCを服用した中高年者でも、服用しなかった人と同じくらい血圧が上がることがわかった。複数の観察研究で、ビタミンCなどの抗酸化ビタミンに降圧効果がある可能性が示唆されてきたが、今回得られた結果はそれを覆すもの。研究結果は、Hypertension誌12月号に掲載された。

 この研究を行ったのは、国立がんセンター東病院のMi Kyung Kim氏ら。Kim氏らは、秋田県横手市に住む、胃癌罹患リスクが高い(血清ペプシノーゲン値が高い)40〜69歳の住民439人を対象に、ビタミンCの胃癌予防効果を調べる臨床試験を実施。今回は、その対象者の血圧について解析を行った。

 対象者は無作為に、ビタミンC低用量(1日50mg)服用群とビタミンC高用量(1日500mg)服用群に分けられ、それぞれ120人と124人が試験を完遂。また、試験開始から約1年で134人が脱落した。研究グループは、早期に脱落した134人を対照群とし、試験を完遂したビタミンC服用者との間で血圧の変動を比較した。

 ビタミンC低用量服用群の平均年齢は58.7歳で、高用量服用群の56.3歳より有意に高齢(p=0.01)。対照群の平均年齢は57.2歳だった。試験開始時の血圧の平均値は、低用量服用群が128.0/77.8mmHg、高用量服用群が125.4/76.1mmHg、対照群が128.8/78.2mmHgで群間の有意差はない。男性比率は各群とも35%前後で、当初の血中ビタミンC値、総コレステロール値、飲酒量、降圧薬服用者比率などに有意差はなかった。

 5年間の追跡期間後、3群とも試験前と比べ有意に血圧が上昇した。収縮期血圧は高用量服用群で5.88mmHg上昇したが、これは低用量服用群(5.73mmHg)や対照群(4.52mmHg)の上昇幅とほぼ同じだった。拡張期血圧の変動幅は各群で違いはなかった。降圧薬服用者と非服用者に分けた解析でも同様の結果となった。

 以上から研究グループは、「各群とも血圧が上昇したが、これは主に加齢の影響によるもので、ビタミンCの服用の有無や服用量とは相関がない」と結論付けている。日本人を対象に、5年間という長期間でビタミンCの高血圧予防効果をみた前向き無作為化介入試験はこれが初めてであり、高血圧予防研究における一つのランドマークとなりそうだ。

 この論文のタイトルは、「Lack of Long-Term Effect of Vitamin C Supplementation on Blood Pressure」。アブストラクトは、こちらまで。

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