2002.12.02

「喀痰中好酸球」指標の喘息治療で増悪・入院回数が減少

 中等症から重症の喘息患者74人を対象とした無作為化試験で、喀痰中の好酸球数を指標にする喘息治療を受けた患者では、ピークフロー値などを指標にする通常の喘息治療を受けた患者より、喘息の増悪や喘息による入院が少ないことがわかった。好酸球が喘息の増悪にどの程度関与しているかは議論が尽きないところだが、少なくとも重症患者に対する治療方針を決める指標としては有用と言えそうだ。研究結果は、Lancet誌11月30日号に掲載された。

 この研究を行ったのは、英国Glenfield病院肺健康研究所のRuth H. Green氏ら。Green氏らは、中等症から重症の喘息に罹患しており、英国胸部学会(BTS)の喘息ガイドラインに準拠した最大限の治療が行われている74人を登録。無作為に2群に分け、一方にはピークフロー値や気管支拡張薬(短時間作動型β刺激薬)の使用量に応じて投薬量などをコントロールする「ガイドライン治療」、もう一方には喀痰中の好酸球数に応じて投薬量などを変える「好酸球指標治療」を行った。

 両群とも抗炎症治療としては、吸入ステロイドの増減を基本に、必要に応じて経口ステロイドを追加した。喀痰は全試行中87%で採取できたが、喀痰が採取できなかった場合は呼気中の一酸化窒素(NO)濃度を気道炎症の指標とした。

 患者の平均年齢は、ガイドライン治療群(37人)が47歳、好酸球指標治療群(37人)が50歳。両群とも約2割がアトピー性で、努力性呼気の1秒量(FEV1)は前者が75.9%、後者が73.4%だった。試験開始時の吸入ステロイドの平均1日量は、ガイドライン治療群が1680μg、好酸球指標治療群が1930μg。両群とも平均すると年2回、コルチコステロイドによるレスキュー療法を受けていた。

 なお、喫煙者や慢性鼻炎などの合併者、コンプライアンス(服薬遵守率)が低い患者など、治療以外の面で喘息の増悪が起こり得る患者は研究対象から除外した。また、患者がどちらの群に割り付けられているかは、治療方針を決める医師のみが知っており、喘息の増悪や入院の必要性などの判断は割り付け群を知らない医師が行った。追跡期間は両群とも、2000年10月から2001年10月までの1年間。両群とも最初の4カ月は毎月、後は2カ月に1回、病院を受診した。

 その結果、ガイドライン治療群の患者では総計109回、喘息の重度の増悪が起こったが、好酸球指標治療群ではこれが35回と有意に少ないことが判明(p=0.01)。喘息による入院回数も、前者では6回、後者では1回だった(p=0.047)。喀痰中の好酸球数も、試験開始時には両群ともほぼ同じだったが、試験終了時には好酸球指標治療群で63%有意に低くなっていた(p=0.002)。

 今回の研究結果が示唆するのは、少なくとも比較的重症な患者については、喀痰中の好酸球数を指標とする治療戦略の有用性が高いということ。重い喘息の場合、症状だけでは真の気道炎症状態が判断できない可能性を示唆するものでもあり、今後の研究にさらなる期待がかかりそうだ。

 この論文のタイトルは、「Asthma exacerbations and sputum eosinophil counts: a randomised controlled trial」。アブストラクトは、こちらまで。

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