2002.11.29

米国の人工中絶率は20%、CDC発表

 米国疾病対策センター(CDC)はこのほど、米国における人工妊娠中絶件数をまとめた最新調査結果を発表した。1999年に行われた合法的な人工妊娠中絶件数は86万1789件で、前年比2.5%の減少。出生児1000人当たり256件の割合となり、人工中絶率(人工中絶件数を人工中絶件数と出生児数の和で割ったもの)は20.1%と、日本とほぼ同程度となる。調査時点では適応外だった「薬剤による人工中絶」が実施可能な、妊娠8週以下での中絶が全中絶の半数以上を占めるなど、興味深いデータも得られた。調査結果は、CDCの週刊調査報告書であるMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)誌11月29日号に掲載された。

 CDCは1969年から毎年、合法的に行われた人工妊娠中絶に関する調査を行っている。米国での合法妊娠中絶率がピークに達したのは1984年の26.4%(出生児1000人当たり364件)で、以後は減少を続けている。1999年は前年と比べ、人工中絶件数は2.5%、出生児1000人当たりの人工中絶数としては3.2%減少した。しかし、1995年以降は調査対象州から、比較的人工中絶実施件数が多い4州が外れており、「出生児1000人当たりの人工中絶数における、減少分の30〜35%は、これらの州が調査対象から外れた影響」とCDCは注意を促している。

 ちなみに日本では、2001年度の人工妊娠中絶件数は34万1588人で、前年比0.1%の増加(平成13年度母体保護統計)。日本でも1955年から毎年、人工妊娠中絶に関する調査が行われており、1955年の117万143件と比べほぼ3分の1に減少した。2001年度の出生児数は117万662人(平成13年度人口動態統計)で、そこから人工中絶率を算出すると、22.6%とほぼ米国と同程度の比率になる。

 妊娠8週までに行われる「早期中絶」の割合は、今回のCDC調査では57.1%。日本でも実は54.0%が、満7週より以前に中絶されている。米国では1990年代半ばから、薬を用いた人工中絶の臨床試験が行われ、うち2剤は他の疾患で承認されているため入手が可能で、実際の中絶にも適応外処方されるケースが増えていたとされる。そうした妊娠中断作用を持つ薬の一つ、ミフェプリストン(RU486、日本では未承認)が2000年9月に承認されたため、「今後はこうした早期中絶への薬剤使用がさらに広がるだろう」とCDCはみている。

 日本と米国とで大きく異なるのは、人工妊娠中絶を行った女性の年齢層だ。今回のCDC調査では、全中絶件数中の32.0%を20〜24歳の女性が占め、20歳未満は19.1%、25歳以上は48.2%となっている(年齢不詳が0.8%)。一方、日本でもこの年齢層が全中絶件数に占める割合が最も多いが、その比率は24.2%。20歳未満が13.6%と低い一方、25歳以上は62.2%と高くなっている。

 この調査報告書のタイトルは、「Abortion Surveillance -- United States, 1999」。概要はこちらで閲読できる。母体保護統計など厚生労働省の各種統計表は、「厚生労働省統計表データベースシステム」から検索できる。

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