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2002.11.25

片頭痛治療が万華鏡のように華々しく発展することを祈る−−会長講演から

 「片頭痛治療に実りあれ」。会長講演を締め括ったスライドの表題がこれだった。今大会の会長を務めた間中信也氏(写真)は、「片頭痛のkaleidoscope」と題して講演。会場に詰めかけた200人を超える参加者を前に、片頭痛にみられる視覚前兆について歴史的に展望した。これまでの自験例や文献を交えながら解説。最後には間中氏が実践している「閃光暗点万華鏡」を紹介し、「閃光暗点を医師と患者が共有するツールとして、頭痛の双方向医療を実現するための一助にして欲しい」と語った。

 間中氏はまず、前兆をともなう片頭痛に関する知見を「覚書」として提示。1.前兆は片頭痛の20%にみられる、2.そのほとんど(99%)は視覚異常(閃光暗点が典型的)である、3.4〜6分持続する(普通は20分)、4.それに引き続き頭痛がおこる、5.ただし、頭痛を伴わない場合もある、6.特殊な片頭痛として、家族性片麻痺性片頭痛、脳底型片頭痛がある−−などを列挙した。また、視覚前兆の発生は、40〜49歳で4.2%、50〜59歳で4.2%、60〜74歳では3.1%(Cephalagia 2000;20:893)であったとし、高齢になっても減少しないことを指摘した。

 前兆(Aura)の歴史をひも解きながら、間中氏はAuraの起源が変身物語(オウィディウス)にあると紹介。史上最大のインパクトをもった前兆は聖パウロ、もっとも多くの人に目撃された片頭痛前兆は1998年のスーパーボールでDenver BroncosのTerrell Davisだったとした。また、「もっとも学問的業績の大きかった前兆」は、Lashley KSで、1941年に論文発表となったLasheley's auraは、閃光暗点と拡延性抑制を結びつけるきっかけとなったものと評価した(論文名は、Patterns of cerebral integration indicated by the scotomas of migraine.Arch Neurol Psychiat 1941;46:331)。

 次に視覚前兆がどのように描出されてきたのかを解説。城壁スペクトル、輝点、フラッシュ、暗点、霧視、モザイク視など、患者が語る前兆は「きわめて多彩である」と注意を促した。

 このうち典型的な視覚前兆とされる閃光暗点に注目。その発生の仕組みが、拡延性抑制で説明されることを振り返った。拡延性抑制とは、後頭部に津波のように興奮と抑制波が進行することで、興奮が「閃光」、抑制が「暗点」として捉えられる。この興奮と抑制波が血管に達すると片頭痛が起こる。

 講演の後半で間中氏は、薬物治療にも触れた。片頭痛にみられる前兆に対する薬物治療は「いまだに確立した見解がない」と前置きした間中氏は、自験例を踏まえて、Ca拮抗薬である「塩酸ロメリジンが有望であろう」と述べた。