2002.11.11

MMRワクチンは自閉症発症に無関係、デンマークの子供全数調査結果が発表

 はしか、おたふく風邪と風疹の新3種混合(MMR)ワクチンは、自閉症の発症には影響しないとの新しいデータが、デンマークから報告された。1991年から1998年の8年間にデンマークで生まれた、約50万人の子供全員について解析した結果で、これまでに報告された研究の中では最もエビデンスが強いもの。約5年間にわたり論争の的となってきた「MMRワクチン原因説」に、少なくとも医学的には終止符を打つデータとなりそうだ。研究結果は、New England Journal of Medicine(NEJM)誌11月7日号に掲載された。

 「MMRワクチンが自閉症発症の引き金となる」との研究が、最初に報告されたのは1997年のこと(Lancet;351,637,1997)。この研究については即座に不備が指摘され、関連を否定するトレンド分析(自閉症が増えた前後のワクチン接種率を比較)や症例対照研究なども多数報告された。こうした報告に基づき、2001年には米国小児科学会が公式に関連を否定する見解を発表した(Pediatrics;107,1221,2001)。

 しかし、症例対照研究などでは、関連を否定するデータだけが都合良く選ばれているとの可能性が残るため、ワクチン接種年齢の子供を持つ親の間に広がった疑念を完全に消すには至らなかった。そこで、デンマーク疫学科学センターのKreesten Meldgaard Madsen氏らは、ある一定期間に生まれた子供全員を対象に、MMRワクチン接種の有無と自閉症発症歴とを国のデータベースに基づいて調査。「都合の良いデータだけを偶然選んでしまう」との選択バイアスがかからない形で、MMRワクチン接種と自閉症発症との関連を調べた。

 1991年から1998年にデンマークで生まれた子供は全部で53万7303人。デンマークでは、MMRワクチンを生後15カ月で接種するよう推奨されており、希望者は無償でワクチン接種を受けられる。実際にワクチン接種を受けたのは44万655人と、全体の82.0%だった。自閉症を発症したのは316人。

 研究グループは年齢や性別など、自閉症の発症に影響を与え得る因子でデータを補正した後、MMRワクチンの接種歴と自閉症発症との関連を調べた。その結果、MMRワクチンを受けた子供が自閉症を発症する確率は、ワクチンを受けていない子供の0.92倍(95%信頼区間:0.68〜1.24)と、ほぼ変わらないことが明らかになった。

 さらに、ワクチンを受けた月齢、時期や、ワクチン接種から自閉症との診断までの期間と、自閉症発症との間にも何ら相関は認められなかった。以上から研究グループは、「今回の研究からは、MMRワクチンが自閉症を起こすという仮説を否定する強いエビデンスが得られた」と結論付けている。

 なお、わが国では1989年から約4年間、MMRワクチンの強制接種が行われていた。しかし、混合ワクチンのうちおたふく風邪弱毒ワクチンによる無菌性髄膜炎の発症率の高さや、薬事法上の不備が問題となり、強制接種は1993年に中止。現在でははしか、おたふく風邪と風疹ワクチンのそれぞれを、個別に希望者に対し接種している。

 この論文のタイトルは、「A Population-Based Study of Measles, Mumps, and Rubella Vaccination and Autism」。アブストラクトは、こちらまで。

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 初期研修は地方ですべし 「医療」ってなんだっけ FBシェア数:119
  2. パーキンソニズムの定義変更、早期からL-ドパを トレンド◎パーキンソン病ガイドラインが7年ぶりに改訂 FBシェア数:186
  3. 専攻医募集で総合診療が「惨敗」、その理由は? 記者の眼 FBシェア数:2
  4. ベンゾ長期処方が大幅減額、その対策は? リポート◎診療報酬改定で向精神薬処方がしにくくなる!? FBシェア数:16
  5. 学会のスライド撮影禁止はいつまで? 記者の眼 FBシェア数:21
  6. 医師は金遣いが荒すぎる! Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」 FBシェア数:1
  7. 2018年度ダブル改定で「看取り」の解釈が拡大 記者の眼 FBシェア数:2
  8. 東京医科大の不正入試問題は氷山の一角? 記者の眼 FBシェア数:116
  9. マイスリーの一発アウトにご注意を!? セキララ告白!個別指導 FBシェア数:0
  10. 抗不安薬:長期処方で減点もデパス人気変わらず NMO処方サーベイ FBシェア数:53
医師と医学研究者におすすめの英文校正