2002.10.30

【ACR学会速報】 期待のICE阻害薬の実力は?、RA患者対象の第2相試験結果が発表

 インターロイキン1β(IL1β)の変換酵素、ICE(Interleukin-1β Converting Enzyme;カスパーゼ1とも)の阻害薬には、どの程度の抗炎症作用が期待できるのか−−。10月29日の「Late-Breaking Oral Abstracts」では、世界初のICE阻害薬、プラルナカサン(開発コード:HMR3480A)の、RA患者を対象としたプラセボ対照第2相試験の結果が発表された。

 ICEは、RAの病態に関わる主要な炎症性サイトカインの一つであるIL1βと、インターフェロンγの分泌やナチュラルキラー(NK)細胞の活性化などを促進するIL18の、両者を活性化する酵素。プラルナカサンはこのICEに対する、経口投与が可能な選択的阻害薬で、炎症性疾患などに対する新しいクラスの治療薬となり得るのではと期待されている。

 マウスを用いた動物実験では、コラーゲンで誘導した関節炎に対し、プラルナカサンは高い抑制作用を示した。そこで、チェコ・リウマチ性疾患研究所のKarel Pavelka氏らは、RA患者285人を1対2対2の割合でプラセボ群、実薬300mg群、実薬1200mg群(いずれも1日量、1日3回服用)に割り付け、12週後の症状改善度を比較した。評価指標は、米国リウマチ学会(ACR)の評価基準(コアセット)で20%以上の改善(ACR20)が認められた患者比率とした。

 対象患者の平均年齢は54歳、8割が女性で、平均罹病期間は約10年。圧痛関節数は約18、腫脹関節数は約16で、試験期間中も8割がDMARD、半数がステロイド薬を併用した。評価症例数は279人。

 その結果、1次評価項目である「12週後にACR20以上の改善がみられた患者比率」は、プラセボ群(55人)が32.7%。これに対し、実薬300mg群(115人)は38.3%、実薬1200mg群(109人)は44.0%で、投与量に応じて高くなる傾向はあったが、プラセボとの有意差は認められなかった(p=0.076)。Pavelka氏はこの理由を、「思いがけずプラセボ群のACR20達成比率が高かったため」と考察する。

 ただし、対象患者をメトトレキサート(MTX)の服用歴で3群に分けた事後(ad hoc)解析では、前述の“高いプラセボ効果”は「MTX服用後6カ月以内の人」で特に顕著であることがわかった。そのため、この群を除いた「MTXの服用経験がない人や、MTX服用後6カ月以上が経過している人では、ACR20達成率は実薬群で有意に高くなる」(Pavelka氏)との結果になった。二次評価項目である炎症マーカー値やステロイド使用量は、いずれも実薬群で有意に低くなった。

 一方の副作用は各群とも5割強に生じ、下痢、吐き気、腹痛、めまい、胃炎(dyspepsia)などが主なものだった。重篤な副作用はプラセボ群に2件(3.6%)、実薬300mg群に6件(5.1%)、実薬1200mg群に7件(6.3%)生じた。副作用の発生率に用量依存性は認められなかった。

 以上から研究グループは、「プラルナカサンの忍容性は高く、炎症マーカーの評価などから、強い抗炎症効果があることも確認できた」と結論。1次評価項目には有意差が出なかったものの、その理由がDMARDの使用歴に関する事後解析である程度説明できるため、「今後、適応症としてRAを中心とした臨床開発を続行し、変形性関節炎(OA)など他の炎症誘発性疾患に関しても有効性を検討する」と強気の姿勢を見せた。

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