2002.10.25

【日本公衆衛生学会速報】 炭疽菌芽胞に対する消毒、WHO推奨5薬剤はすべて有効

 炭疽菌は芽胞を形成することで消毒薬に対する抵抗性を持つため、有効な薬剤は限定されている。さらに、日本では消毒薬の有効性に関するデータが十分ではない現状を踏まえ、埼玉県衛生研究所の柴田穣氏らは、世界保健機関(WHO)が推奨している、ホルムアルデヒドや次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、グルタルアルデヒド、過酢酸の5種類の薬剤について、その殺菌効果を検討した。その結果、WHO推奨5薬剤はすべて有効であることがわかった。10月24日、日本公衆衛生学会のポスターセッション「感染症」で発表した。

 今回用いた材料は、供試菌がBacillus anthracis 2苗H株とBacillus anthracis 34-F2株。また、試験薬剤の濃度(と使用した不活化剤)については、10%ホルムアルデヒド水溶液(リン酸加3.36%アンモニア水)、0.5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(0.5%チオ硫酸ナトリウム)、3%過酸化水素水(0.2%カタラーゼ加0.5%チオ硫酸ナトリウム)、2%および4%グルタルアルデヒド(ともに1.0%グリシン)、0.3%および1%過酢酸(0.5%および1.0%チオ硫酸ナトリウム)とした。なお、WHO指針では、グルタルアルデヒドの濃度は4%、過酢酸は1%と、通常より高濃度になっている。

 殺菌効力の測定方法については、以下の通り。被検薬液1.8mlに芽胞菌液0.2mlを加え、素早く混和し、摂氏20度で一定の作用時間静かに置いておく。その後、試験液1mlに不活化剤9mlを混ぜ、反応を停止させた後、そのうち1mlを9mlのTSB(trypticase soy broth)で摂氏37度の状態のまま48時間培養し、菌の発育の有無から殺芽胞作用を確かめた。なお、作用時間については、5分、10分、20分、30分、60分、120分の6パターンを採用し、同日に同条件の実験を3回繰り返した。

 結果については、「120分間作用させると、どの薬剤においても殺芽胞効果が得られた」(柴田氏)。もっと短時間でも有効なものもあり、10%ホルムアルデヒドと1%過酢酸だと、5分後にすべて陰性となった。また、2%グルタルアルデヒドと0.3%過酢酸では、20分後にはすべて陰性となり、WHOが推奨している高濃度でなくても、比較的短い時間で効果を示すことも確認された。

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 製薬企業と医師との付き合い方はどう変わる? ニュースウォッチャー井上雅博の「世相を斬る」 FBシェア数:371
  2. 学会はスーツで行くべきなのか 倉原優の「こちら呼吸器病棟」 FBシェア数:756
  3. 若年男性に生じた腹痛、必ず聞くべきことは? カンファで学ぶ臨床推論 FBシェア数:1
  4. お尻に注入しないで!(食事中に閲覧しないで) 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:374
  5. 病院の「介護医療院」転換に予想外の傾向! 日経ヘルスケアon the web FBシェア数:31
  6. 民間病院から大学教授を毎年輩出する秘訣 東謙二の「“虎”の病院経営日記」 FBシェア数:60
  7. 脳梗塞超急性期のEarly CT signとは 今さら聞けない画像診断のキホン FBシェア数:0
  8. ポケットを伴う褥瘡に有効な「創内固定」 古田勝経の「褥瘡はフルタ・メソッドで治る」 FBシェア数:72
  9. 60歳代女性。胸部異常陰影 日経メディクイズ●胸部X線 FBシェア数:0
  10. 記憶障害のみでゆっくり進行する認知症とは 発見者の金沢大学脳老化・神経病態学(神経内科学)教授山田正仁氏に聞く FBシェア数:141
医師と医学研究者におすすめの英文校正