2002.10.12

【日本高血圧学会速報】 高血圧は女性でも末期腎不全発症の危険因子、10万人コホートの17年追跡で判明

 日本で行われた大規模コホートの長期追跡研究から、男性だけでなく女性でも、高血圧が末期腎不全(ESRD)発症の危険因子であることが初めてわかった。沖縄県総合保健協会の住民健診受診者約10万人を、17年間追跡した結果で、琉球大学第3内科の戸澤雅彦氏らが10月12日の一般口演で報告した。

 高血圧がESRDの危険因子であることは、「MRFIT」(Multiple Risk Factor Intervention Trial)研究など複数の大規模研究で示されてきた。しかし、これらの研究は男性のみを対象としたもの。女性でも同様の関係が成り立つかは明らかでなかった。

 そこで戸澤氏らが着目したのが「沖縄透析研究」(OKIDS)。ESRDのため透析入りした沖縄県民をデータベース登録しており、これと付き合わせれば住民集団の正確なESRD発症数が確定できる。戸澤氏らは、1983年に沖縄県総合保健協会の住民健診を受診した、20〜98歳の住民9万8754人について、1983年当時の血圧と2000年末までのESRD発症とにどのような関連があるかを調べた。

 健診受診者は男性が4万6881人、女性が5万1878人で、平均年齢は男性が47.3歳、女性が52.1歳。体格指数(BMI)は男女とも23.4で、血圧の平均値は男性が132/80mmHg、女性が129/77mmHgだった。2000年末までの17年間で、約400人がESRDを発症。患者数は男性が女性の約1.5倍で、原因疾患は慢性糸球体腎炎が最も多く、次いで糖尿病性腎症、糸球体硬化症の順だった。

 戸澤氏らは対象者を、日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン「JSH2000」における血圧分類に従い、1.至適血圧(120/80mmHg未満)、2.正常血圧(130/85mmHg未満)、3.正常高値血圧(130〜139/85〜89mmHg)、4.軽症高血圧(140〜159/90〜99mmHg)、5.中等症高血圧(160〜179/100〜109mmHg)、6.重症高血圧(180/110mmHg以上)−−の6群に層別化。年齢とBMIで補正した後、至適血圧者を基準にESRD発症のオッズ比を求めた。

 その結果、男女とも血圧が正常高値以上で、至適血圧の人よりも有意にESRD発症率が高いことが判明。ESRD発症のオッズ比は、血圧が高くなるほど上昇することも確認できた。なお、BMI高値もESRD発症と相関していたが、血圧ほど強い相関ではなかった。

 以上から戸澤氏らは「高血圧は、男性だけでなく女性でもESRD発症の有意な予測因子であり、JSH2000の血圧分類は発症予測に有用」と結論。ESRDの発症予防には、正常高値の段階からの血圧管理が重要ではないかと示唆している。


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 MedWaveは日本高血圧学会の開催を機に、「高血圧治療に関する調査」を実施しています。医療現場の第一線で活躍されている先生方に、高血圧治療の方法や考え方、降圧薬の処方経験、高血圧治療に関する情報ニーズなどをお伺いし、高血圧治療の実態を明らかにすることを目的としております。調査結果は後日、MedWave上で紹介する予定です。
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