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2002.09.26

脳卒中患者、入院時高血糖は予後不良のサイン

 発症3時間以内の脳卒中患者約600人を対象とした臨床試験のサブ解析で、急性期の治療に用いた薬や年齢、脳卒中の重症度、糖尿病罹患の有無、入院時血圧などで補正した後も、入院時の血糖値が予後と強く相関していることがわかった。研究結果は、Neurology誌9月10日号に掲載された。

 解析の基となった臨床試験は、米国国立衛生研究所(NIH)の補助研究として行われた「NINDS rt-PA」(National Institute of Neurology Disorders and Stroke recombinant tissue plasminogen activator Stroke Trial)試験。発症3時間以内の脳卒中患者624人を無作為に2群に分け、組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)またはプラセボを投与して、生存率や後遺障害などを比較した。

 米国Indiana大学神経学部門のA. Bruno氏らは、この「NINDS rt-PA」のデータを、入院時血糖値に基づいて再解析した。すると、予後に影響を与え得る種々の因子で補正した後も、入院時の血糖値が高い人で予後が悪いことが判明。3カ月後に神経学的な改善が得られた人のオッズ比は、血糖値が100mg/dl高くなると0.76倍と有意に低くなった(95%信頼区間:0.61〜0.95、p=0.01)。

 ただし、血糖値と予後との相関は、入院時の血圧に依存していた。入院時の平均血圧が高くなるほど、「入院時血糖値が高い人ほど予後が悪い」との相関は弱くなった。

 興味深いのは、症候性脳出血の発症率に、入院時血糖値との相関が認められた点だ。血糖値が100mg/dl高くなるごとに、脳出血発症のオッズ比は1.75倍、有意に上昇した。この相関には介入に用いた薬剤(TPAかプラセボか)との関連は認められず、「高血糖の人ほどTPAの副作用として脳出血が起こりやすい」というわけではなかった。TPAの効果と血糖値とも、特に相関は認められなかった。

 血糖値が高いと脳卒中の予後が悪くなることは、1970年代から動物実験で指摘されており、「TOAST」(Trial of ORG 10172 in Acute Stroke Treatment)研究のサブ解析などでもそれを支持するデータが得られている。今回得られたデータは、そうした知見をさらに強めるものだが、脳出血との関連が認められたのは初めてだ。

 だが、高血糖状態の人でなぜ予後が悪いのかは未だに不明であり、「相関があることは確かだが、どちらが原因でどちらが結果なのかもわかっていない」と研究グループは釘を刺す。今後この点についての解明が進み、高血糖が原因となって予後を悪くすることがわかれば、血糖コントロールは脳卒中急性期の有力な治療手段になり得るだろう。

 この論文のタイトルは、「Admission glucose level and clinical outcomes in the NINDS rt-PA Stroke Trial」。アブストラクトは、こちらまで。