2002.08.21

母親の「後年の」インスリン抵抗性、子供の出生時体重と逆相関

 母親が妊娠中に糖尿病になると、生まれてくる子供の体重が比較的重くなることが知られているが、母親が高齢になってからのインスリン抵抗性は、逆に「軽い」子供を産んだ人ほど高いことがわかった。胎児期の「インスリン仮説」を支持するデータとして注目を集めそうだ。研究結果は、British Medical Journal(BMJ)誌8月17日号に掲載された。

 様々な疫学的調査で、出生時の体重が軽い人ほど、成長してから心疾患や糖尿病になりやすいことが知られている。明確な理由は不明だが、有力な仮説の一つとして「インスリン仮説」が提案されている。これは、特定の遺伝子の多型が胎児の成育を不十分にし、同時にインスリン抵抗性を高めるというものだ。

 しかし、よく知られているように、妊娠中に妊婦が糖尿病になった場合は、生まれてくる子供の体重はむしろ重い。そこで、英国Bristol大学社会医学部門のDebbie A. Lawlor氏らは、「妊娠中」ではなく「後年の」インスリン抵抗性と、出産した子供の体重との相関を調べた。

 調査対象は、英国の23地域に住む60〜79歳の女性4286人。うち、出産経験があり、第1子の出生時体重がわかっている3265人について、現在のインスリン抵抗性と第1子の体重とを比較した。

 第1子の出生時体重別に対象者を4群に分け、背景因子を比較したところ、「軽い」子供を産んだ人ほど現在の年齢が若く、体重が軽い傾向があった。そこで、そうした点を補正した上でインスリン抵抗性指数(HOMA)と第1子の出生時体重との相関を調べると、子供の体重が1kg重くなるごとにHOMAは27%低下することがわかったという。

 この結果は研究グループにとっては「予想外」だったが、かえって「インスリン仮説を支持するデータとして重要」だとLawlor氏らはまとめている。興味深いデータだけに、出産した子供の体重と、自身の後年のインスリン抵抗性とをつなぐ“共通の遺伝的素因”の今後の探求に期待したい。

 この論文のタイトルは、「Birth weight of offspring and insulin resistance in late adulthood: cross sectional survey」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。

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