2002.07.23

【日本動脈硬化学会速報】 日本人では糖尿病やトリグリセリドが冠危険因子として重要−−ASPAC研究より

 アジア系人種社会においては、冠危険因子として、高血圧、糖尿病と並んで高トリグリセリド(中性脂肪)血症の果たすウエイトが高いという調査結果が発表された。アジア太平洋地域の10カ国において、心筋梗塞などの急性冠症候群を発症した患者の持っていた危険因子を比較した結果。欧米人と比べてアジア系人種では冠動脈疾患の予防において、血中コレステロールだけに留まらない総合的な管理がより重要であることが、この結果から示唆される。研究結果は7月18日のポスターセッションで、箕面市立老人保健施設長の山本章氏らが発表した。

 この「アジア太平洋地域の10カ国における冠危険因子に関する調査研究(ASPAC-study)」では、日本、韓国、台湾、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランドの計130施設で、急性冠症候群患者における危険因子とその管理について調査している。今回は、年間50例以上の心筋梗塞患者を扱う22施設480例について、患者のカルテから危険因子を追跡した。

 その結果、高血圧はどの国にも共通して見られた普遍的な危険因子だった。例えば急性冠症候群患者における高血圧者の頻度は日本で72%、オーストラリア・ニュージーランドで71%とほとんど差がない。一方、血清高コレステロール血症(>250mg/dl)の頻度は、日本人患者では男性15%、女性30%であり、一般人口中の約2倍に上っていたものの、オーストラリア・ニュージーランドと比べると2分の1だった。

 アジア系人種社会において特徴的だったのが、急性冠症候群患者における糖尿病の頻度。オーストラリア・ニュージーランドが19%だったのに対し、シンガポール44%、タイ35%、日本、マレーシア34%、台湾31%と高い値を示した。ただし、フィリピン(26%)、インドネシア(22%)、韓国(20%)では20%台に留まった。

 また、日本において各血清脂質の持つウエイトを調べた結果では、コレステロールよりもトリグリセリドの方が急性冠症候群の発症に与える影響は強く、250mg/dl以上の患者の頻度は一般人口中の3倍にも上った。

 以上から山本氏は、「日本人における冠動脈疾患のリスクファクターは、高コレステロール血症だけではないということを強く認識しなければいけない」と強調した。(関本克宏、医療局開発)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 5年ぶり改訂、高血圧治療ガイドラインが発表 降圧目標を下げ早期からの生活習慣改善を強調
  2. 中古機器、「美品」を買えて喜んだのも束の間… 開業の落とし穴
  3. 100床の外国人専用病院計画で露見した制度の穴 リポート◎“自由診療だけの病院”は病床規制を無視できる?
  4. 舌下免疫療法を“卒業”しました 記者の眼
  5. 軟部陰影の異常をどう読む? 今さら聞けない画像診断のキホン
  6. “お役所仕事”な定期予防接種の特例 泣かせない小児診療ABC
  7. 「暴れる患者」に対応する方法 EM Allianceの「知っ得、納得! ER Tips」
  8. どうなる?メソトレキセートの供給不足 トレンド(DIオンライン)
  9. 無症候性高尿酸血症への安易な薬物療法はNG リポート◎FDAが「フェブキソスタットはアロプリノールよりも死亡リスクが高い」と警告
  10. 初期研修医がやってしまいがちな10の失敗例 Cadetto通信
医師と医学研究者におすすめの英文校正