2002.06.28

【ISH速報】 妊婦の子癇前症予防、低用量アスピリンの就寝前服用が有用

 妊婦341人を対象としたプラセボ対照無作為化試験で、低用量のアスピリンを就寝前に服用すると、プラセボや他の時間帯にアスピリンを服用した場合よりも子癇前症の予防効果が高いことがわかった。スペインde Vigo病院時間生物学研究室のRamon C. Hermida氏らが、6月27日の一般口演「Drug Treatment, Clinical Trials」で発表した。

 子癇前症は、妊娠中毒症の一種で、蛋白尿や浮腫を伴う高血圧を特徴とする。妊娠20週以降に生じ、初産で多いことが知られている。子癇前症を放置すると子癇(妊娠後期に起こる痙攣発作)につながることが多いため、子癇前症と診断された場合、わが国では降圧薬などによる治療が行われるのが普通だ。欧米では一部の医療機関でアスピリンを子癇前症の予防薬として用いているが、臨床成績はまちまちで、果たして本当に予防効果があるのかは明らかではなかった。

 Hermida氏らは、アスピリンによる子癇前症の予防成績が一定しないのは、生体リズムに合わせた投与がなされていないためではないかと推察。18〜41歳で家族歴や前妊娠での子癇前症の既往など子癇前症のリスクが高い妊婦341人(うち初産181人、多胎例は除外)を6群に分け、3通りの時間帯に、胎盤を通過しない低用量のアスピリン(1日1回100mg)またはプラセボを服用してもらい、予防効果を比較した。薬剤の服用時間帯は、起床時、起床8時間後と就寝前の3パターン。服用期間は妊娠12〜16週から出産までとした。

 その結果、プラセボを服用した3群と比べ、アスピリンを起床8時間後または就寝前に服用した群では、出産時の血圧が有意に低いことが判明。血圧の低下幅は就寝前服用群の方が大きく、24時間平均で13.7/9.2mmHgに達した。一方、アスピリンを起床時に服用した群では、出産時の血圧がプラセボ群と変わらなかった。

 さらに、子癇前症の発症率は、プラセボ群が12%前後だったのに対し、アスピリンを起床8時間後または就寝前に服用した群では2%前後と、有意に低くなることが判明。ただし、アスピリンを起床時に服用した群では約15%と、プラセボ群とほぼ同程度だった。

 早産率については、プラセボ群(約12〜15%)と比べ、アスピリン起床時服用群では約12%とほぼ変わらない。しかし起床8時間後服用群は4%、就寝前服用群では0%と、有意に低くなった。出生児の体重はアスピリン服用群でやや重い傾向があった。

 以上からHermida氏は、「低用量のアスピリンを起床時以外、特に就寝前に服用すると、子癇前症や早産などの合併症を予防できる」と結論。「多くの医療機関では、特に服用時間を指定しないでアスピリンを処方しているが、生体リズムに合わせた処方が大切であることを再認識して欲しい」と訴えた。

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 抗インフルエンザ薬ゾフルーザ、迅速に症状緩和 インフルエンザ診療Next:トピックス FBシェア数:24
  2. 不眠治療で大事な「3つのP」とは 三島和夫の「知って得する睡眠臨床」 FBシェア数:71
  3. 明日出合うかもしれないまれな疾患に気付くには EM Allianceの「知っ得、納得! ER Tips」 FBシェア数:137
  4. 水分摂取量増加で膀胱炎の再発は減らせる JAMA Intern Med誌から FBシェア数:159
  5. 医師の4割超が詐欺や悪徳業者に遭遇 シリーズ◎医師を狙う悪い奴ら《4》手口の実態(前編) FBシェア数:38
  6. 「病院病床バブル」はいつまで続くか? 東謙二の「“虎”の病院経営日記」 FBシェア数:29
  7. 解決できない問題に遭遇、あなたならどうする? シリーズ◎忘れられないカルテ FBシェア数:15
  8. ハゲタカジャーナルに奪われた私の1500ドル シリーズ◎医師を狙う悪い奴ら《3》被害者の告白2 FBシェア数:43
  9. 自覚の薄い「研究不正」に要注意!! 英文校正者が教える医学論文執筆の極意 FBシェア数:56
  10. ノーベル賞と論文の被引用数「hインデックス」 記者の眼 FBシェア数:31
医師と医学研究者におすすめの英文校正